さとびこ編集室日記|100年住みたいのは自然にも人にもやさしい地域

自然と人のつながりを地域に根ざして考える奈良発ローカルマガジン「さとびごころ」を編集する「さとびこ編集室」より、日々の活動のことやお知らせ、雑談を綴ります。 雑誌づくりを通して、自然にも人にもやさしいあり方をみなさんとともに考えます。

カテゴリ: 地域を元気にする取り組み

陽楽の森講座に通っています。
このブログでもご紹介したことのある陽楽の森講座。

さとびで連載していただいている谷茂則さんが代表(やそれに準ずるもの)をされている団体は数多くありますが、
今年から始動した通称 陽楽講座を主催する「チーム・めだか」もそのひとつ。
編集部も陰ながら協力させていただいています。なぜなら、講師の皆さんが揃って興味をかきたてられる方が多いから。コーディネーターの鳥取大学特任教授家中先生のお力です。
(家中先生にも定期購読していただいています。ありがとうございます)

今年6月から毎月1回のペースで行われており、今月は第3回。
講師は、湯本貴和氏。京都大学名誉教授、元ky法と大学霊長類研究所所長、前日本生態学会長、、、という家中先生のコネクションがなければ、お会いすることはなかったであろう(あなんの場合ですよ)方がいらっしゃいます。

チラシに記載されたテーマとは変更がありました。 

元のテーマは、「生物多様性と文化多様性-環境史の視点から」というものでしたが、直前の告知によりますと、以下のように変更になっていまして、さらに聴いてみたい内容となりそうです。






わたくし、直近のお話会で、「里山は現代のハラだ」ということを言っています。ハラというのは縄文人が食糧や資材を調達した集落の周辺地帯です。そのまんまですよね。
今わたしたちは里山が耕作放棄地化し、過疎化している現実を知っています。
でも、本当はかけがえないものを棒に振っているのではないか。
そんな思いから里山というキーワードには、ひっぱられてしまう。
人口のほとんどが都市に集中する現代において、里山と人は(一部の環境意識の高い人たちだけでなく)どのようにつながっていけるのでしょう。なにかアイデアを得られるでしょうか、そんな思いで参加してみたいと思います。




この会場で配布されている「陽楽の森通信」の編集には、わたくしも参画しています。
企画は、チームめだかさんですが、テーマに合わせた記事づくりの詳細の相談や、提言、編集レイアウトなどをしていますので、ぜひ見てくださいませ。

陽楽の森通信vol.1
 

こんなふうな紙メディアを作りたい方がいらっしゃいましたら、ぜひぜひお手伝いさせてくださいね。さとびづくりをしてきた経験がお役にたてるようでしたら、喜んでやらせていただきます。


『陽楽の森通信』創刊号が、WEBサイトで読んでいただけます。
pdfのダウンロードもできます。
お一人お一人お渡しできませんでしたが、ぜひ、このWEBサイトからご覧になって下さい。
「陽楽の森」の経緯や歴史的背景について、そして今後の構想も、次の4つのエッセイの構成によって、知っていただくことができます。
ぜひご一読を!
谷 茂則「陽楽の森を開く」
伊藤立平「『町中の自然』への新しい眼差し」
田村広司「チャイムの鳴る森」
家中 茂「コモンズとは」

家中先生は、社会学の立場から陽楽の森(陽楽というのは実際の地名です)で起こっていることに注目され、トヨタ財団の助成を受けてこのプロジェクトを実質的に立ち上げられました。
わたしも、これを機会に家中先生とゆっくりお話しできる機会に恵まれ、学びをいただいております。
(凄まじいまでの実行力に唖然としながら笑)

この講座は来年3月まで全部で10回行われます。(9回から10回に増えました)
キーワードだけをご紹介しますので、興味のある方はウェブサイトhttps://toyouraku.comでお確かめください。 

9月 ちいさな自然再生
10月 土中環境(あなんが個人的にとりわけ心待ちにしている講座!)
11月 菌の声をきく
12月 内山節先生来る
(ここから来年)
1月 伊藤立平さん=さとび執筆者・サポーター
2月 療育と森
3月 撤退学


では、8月20日、現地でお会いする方、どうぞよろしくお願いします。


このごろ、ワークショップや講演会の情報に目がいくことが多く、もはや世の中が勉強会だらけになっているかのような気がしてきます。ウェブ視聴ができるようになったこの時代、開催地がどこであれ、その気があれば参加できます。どれも、それぞれに興味を感じますが、すべてに参加していたら、毎日のように何かがありますし、それぞれ何千円かの参加費が必要であることが多く、お金もばかになりません。

ですから、自分が関わっていることやさとびの取材にもなるようなことに絞っております。それだけでも多くの情報で水浸しになりそうです(笑)

セミナージプシーという言葉があるように、学ぶだけでは何も変わりませんので、学習会の参加回数ではなく、ひとつでもいいからピンときたことを小さく実行してみることで、すごく面白いことが起こっていくのではないかと思います。実行をともなっていると、ジプシーをしている時間がなくなります(笑)

陽楽講座をお選びの方と、お目にかかれたら嬉しいです。

そうそう、さとびもちいさく「学びとうれしさのある場づくり」活動を始めました。
8/28 スパイスカレーセミナー 10/10 雑草キッチンセミナー (その他企画中)
本当にちいさな場づくりですので、相当なご縁のある方との出会いができそうで、企画するのがとても楽しみです。こちらも、どこかでお会いできたら嬉しく思います。



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100年住み続けたい奈良のための地域づくりマガジン
さとびごころ(編集:さとびこ編集室 発行:オフィスエルインク)
https://satobigokoro.org/

ご購入、お問い合わせはHPのフォームからどうぞ。

オンラインショップはこちら。

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JR奈良駅構内にある酒店「もも太朗」さんは、奈良の地酒が豊富に揃っていて、観光客だけでなく飲食店から求められたりする奈良の地酒ファン御用達のお店。

SNSにも投稿しましたが、ブログではつらつらと書きやすいですので、やや詳細版を投稿します。

さとびでは毎号、帝塚山大の河口充勇教授に「奈良の地酒と『ちいさな酒屋』の物語」を連載していただいています。特集では2度、奈良の地酒をテーマにいくつかの酒蔵を紹介してきましたが、この連載ではその酒蔵の思いを汲み取って飲む人とを取り持つ酒店にフォーカスしています。

次号となるvol.49春号では、こちらのもも太朗さんが主人公です。

社長の杉本さんは、10歳まで兵庫県西宮市で生まれ育ちました。ですから1995年の阪神大震災では、いてもたってもいられず現地に乗り込んでボランティア活動をされました。電車で行けるところまで行き、あとは体力で物資を運び込む。現地で足りないものを聞き取っては、通う。あの頃のことが思い出されます。この震災をきっかけに日本では「ボランティア」という言葉が定着したと言われていますね。

この体験が杉本さんを変えるきっかけとなりました。それまでは、「石橋を叩いて、叩いて」慎重すぎる性格だったのに、思ったことはやろう!というタイプに変わったそうです。その後に始まったのが、ギャラリーを借りての利き酒のイベント。
杉本さんが酒店として独立した頃、お客さんの健康にいいもの、おいしいものを考えたとき、「純米酒だ」という結論に至り、全国から取り寄せて味を確かめたところ、奈良のお酒がひときわ美味しいことに気づいたそうです。そこで地酒を醸造する全ての酒蔵を訪ねて回り、直接の取引も始まり、イベントの企画をしてお酒のおいしさを伝えました。今ほど奈良の地酒が注目されている時代ではない中での、先駆け的な取り組みだったといえます。vol.47の第2回めの記事にもあるように、田原本のあべたやさんも杉本さんから「いろいろと勉強させていただきました」と語っています。

杉本さんも、このイベント活動から新しい出会いやつながりが生まれ、転機になったといいます。

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執筆の河口先生は「書くことがありすぎて、まとめるのが大変」と収穫の多い取材に嬉しそうな、いい意味でつらそうなコメントをお寄せいただきました。
どんな記事になるか楽しみにしてくだされば幸いです。



記事になるかはわかりませんが、杉本さんはお名前の画数がよくて、強く守られていると感じているそうです。さきほどの阪神大震災の活動の中、あやうく交通事故に遭う瞬間に、「これは大丈夫だ」と予感があって落ち着いていたら、九死に一生のタイミングで衝突が回避されたりしたんですって。
思えば、早い段階から「純米酒」に気づかれたのも、兆しやきっかけをきちんと受け止めることができる方だったのではと思います。

あなん個人は、杉本さんにお目にかかるのは初めてでしたが、こんなエピソードをうかがうとめちゃ興味が湧いてしまうのでした。


もうひとつ、無濾過生原酒が広まっていることに対しては、「酒蔵の実力がもろに出るお酒」と讃えられたあとで、「地球温暖化を考えると、電気を使って保管しないとダメというのが気にかかる」との視点をいただきました。個人宅の冷蔵庫だけでなく、製造から流通にまで「要冷蔵」が求められるのですから、たしかに大量の電気を消費しますね。そんな感性は、さとびに載っていただくのにふさわしく、嬉しかったです。
「常温で保管してもおいしく変化する生酒もあるんですよ」とのこと。
興味があります。また、もも太朗さんで教えていただきましょう。

 

これからは、コロナ禍でダメージを受けた酒蔵が多い中、ちいさいけれど頑張っている蔵を店として応援し、ともに豊かになっていけるような計画が進行中とのことです。時代の変化にあわせて、日本酒が飲まれなくなったり、その困難があったからこそ変化を求めて立ち上がってきた酒造や酒販の世界。こんどは観光や外食の売り上げが下がっている状況に対して立ち上がっていかなくてはなりません。こうして、ちいさな酒店の物語は、これからも続いていくのですね。



最後に、杉本さん直々にオススメの お酒を買い求めました。
「今日の1本」は、vol.32で紹介した大倉さんのお酒。いつものように「大倉」!とは書かれていないのでラベルを見るだけでは気づかなかった。
早速飲んでみると、甘くてコクのある味!毎晩少しずつ楽しみます。(常温で置いてみようかしら??)
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さあ、河口先生の記事はどうなるでしょうか。さとびvol.49 春号を宜しくお願いします。


 

PS 
今日はひな祭りだなあ。ミニ雛などが飾ってあると(自分は何もしてなくても)ほっこりしますね。
世界が平和であってほしいです。。。

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前回からの記事に続きになります。

11月最後のさとび旅。二日目、池田町です。運転してくれる部員さんに、ぜひ見せたいと。FBでちらりと報告しましたら、行ってみたーいとおっしゃる方もありましたので、ここでもご紹介したいと思います。

この町のことは、さとびをしていなかったら今でも知らなかったかもしれません。
最初のきっかけは、ネットで「近自然の森と奈良」に興味を持ったという溝口淳さんという方からのご連絡でした。しかも、さとびごころのバックナンバーを全部欲しいといわれ、びっくり。聞けば、奈良市のご出身でしたので、なおさらご縁を感じます。
ちょうとそのタイミングで、福井県の博物館へ行く予定がありました。そこで、本のお届けを兼ねて訪ねてみることにしたのです。

福井県は、福井市や鯖江市、小浜市には行ったことがありましたが、「池田町」とは初耳。調べてみると、JRの駅はありませんでした。最寄り駅からタクシーかな???と考えていたら…



日曜日にもし池田町に起こしになれるなら、池田町のマイバスというワゴンタクシーがあります。それにのっていただけると池田町までくるのに便利です。それで、池田町にいらしたら、私時間があるので簡単にご案内いたします!その上でなんですが、夕方福井にでかけますので、福井までお送りすることが可能です。そんな方法でいらしてはいかがでしょうか?冊子はPDFを含めてあるだけいただきますのでおねがいいたします!いくらになるかもお知らせいただければ幸いです!
(当時の溝口さんからのメッセージより)


 


こ、これは。この溝口さんという方は、さながら頭の中に「すぐやる課」がある人なんでしょうね、てきぱき段取り力、あざやかです。

2度目の池田町に向かいながら、最初に訪ねたときのことを思い出していました。
 

今年5月の池田町。


JR福井駅でワゴンタクシーを待っていますと、たしかに来ました。乗客はわたし一人。おかげでおっとりやさしい感じの運転手さんとたっぷりお話できて、約1時間の道のりは全く退屈しませんでした。
福井駅から市街地を抜け、どんどん山の中へ入っていきます。しかし峠を越えたあたりから空が明るくなり、山間なのに、田んぼが広がる平たい土地が姿を現しました。それが池田町でした。
目的地の市役所前にワゴンタクシーが止まると、玄関口に立つ溝口さんがいました。市の職員さんとのことで、日曜日だというのに恐縮でした。あとで副町長さんとわかり、そんな方にガイドしてもらったことに、さらに恐縮したのもです。


このとき案内してもらった場所を追いかけるように、全箇所とはいかないまでも今回は、わたしが部員さんを案内しました。溝口さんが「どこへいくのも車で20分圏内ですよ。いいでしょ」とおっしゃってましたっけ。


おしゃれな観光パンフレット 池田のきほん 

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5月に訪ねたカフェで

池田町には「池田のきほん」という無料のガイドブックがあります。デザインも素敵で、内容もわかりやすい。観光パンフレットというと、名所や絶景とそのいわれの説明、、、という例が多いものですが、池田町の観光資源はそれもあるけど、それじゃないんだということがわかります。

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自然や人のぬくもり。「自分たちの手で」「心地よい暮らしを作り上げいく」ありのままの池田町が資源なのだと。わたしも、それを感じたのです。

このパンフレットの最初のほうにある「このまちを知る10のこと」。
池田町を知る10のこと

1.「小学校に入学するとマイ机がもらえます」(地場産ヒノキ)
2.「いけだのお米は最高に美味しいんです」(山間ならではの水と寒暖差)
3.「まちの9割は木に囲まれています」(肯定的)
4.「お母さんたちがとっても元気です」(若者よりまずお母さんたち)
5.「雪は多いけど除雪は完璧です」(日本有数の豪雪地帯)
6.「地元のおんちゃんがスキーを教えてくれます」(唯一のスキー場)
7.「信号は町内でたった二つしかありません」(肯定的)
8.「無農薬野菜づくりには生ゴミがかかせません」(生ゴミ回収して堆肥化!!!編集部大きく反応)
9.「手をあげたらバスが止まってくれます」(平日無料のバス!)
10.「このまちにやってくる移住者が増えています」(最後に移住)

「自分たちの手で心地よい暮らしをつくる」というこの町のムードが伝わってきませんか。



部員さんを最初に案内したのは、町の南西部にある廃校した小学校を活かした「農村de合宿キャンプセンター」。食堂では、お母さんたちのグループ「白いかっぽう着」のみなさんが手作り料理を提供(要予約)。体育館だった場所には「クライミングウオール」があります。
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部員さんが驚いていました。ちなみに、幼いこどもが自分の身体感覚を身につけるのに、クライミングウオールはすごくいいんですってね。


コンビニがないから不便!で終わるのではなく、「まちの駅」を作って、農産物やおみやげが買える「こってコテいけだ」(この町では、ネーミングに遊びが多いと思う)を開いちゃう。ここには農産物加工所「食ラボ」の品も並んでいます。

店で見つけたお米のパッケージ
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ほら。やっぱりネーミングで遊んでますよね。
イケソーダ(うまくいく予感と池田町のイケをかけた炭酸水)もあるし。


こってコテいけだ には、リサイクルステーションが備わっています。ごみ箱やネットが置いてあるのではなくて、なにかものものしい装置があり、穴のあいたところから資源ゴミを投入するようになっていました。ここに住民の方が、自宅から出たペットボトルや缶を入れにこられているのを見かけました。生ゴミを堆肥化している町なので、資源ごみもキチンとされているのかなと思いました。


まちの駅のとなりには、あかちゃんも安心して遊べる「おもちゃハウスこどもと木」。そのとなりには2020年にオープンしたばかりの別館があって、これがすごい。木のおもちゃだらけです。
わたしは幼稚園時代にプレイバックして、木のおままごとの世界観にはまり込みました。
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ドールハウスもある!
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男の子が喜びそうな迷路?のような設えもあり、さらには、木工を楽しめる部屋もあります。

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全館木造りの居心地のいいハウス。
入場料は500円です。行政が運営しているのに無料じゃないのか、という声もあるそうですが、赤字にせず人を雇用するためのもの。でも500円なら安いですよね。


今回は、行きませんでしたが、5月のときは「ツリーピクニックアドベンチャーいけだ」という、こういう方面が好きな人にとっては心をくすぐるスポットも見せていただきました。キャンプ、アドベンチャーアクティビティ、ボートなどなど盛りだくさんの遊び場です。池田町は岐阜県にも接しているので、福井県内だけでなく岐阜や愛知からもここへ遊びにくる人があるようでした。
溝口さんて、どこへ行ってもそこにいる人と会話がはずむ人。みんな親しそうです。



最後は、今回の旅で溝口さんと待ち合わせ場所となるウッドラボイケダへ。
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崩れそうになるほど古くなった工場をリノベーションして2020年にオープンしました。
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リノベーションの費用が、買取価格よりもはるかに高くついたそうですが(汗)。
躯体を残して、ペイントして、すっかりおしゃれに生まれ変わっています。
ラボ内には、道具が揃った木工体験施設があります。この日は、ちょうど池田町を撮影した写真家さんの写真展の最終日で、たくさんの美しい作品が展示されているのを見ました。これらの写真は、まちのパンフレットやポストカードにも使われています。
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薪も売っていました。広葉樹の乾燥材で700円/束は、安いですね。
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ここに、忙しい公務の隙間時間を作って溝口さんが来てくださいました。
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5月にお会いしたときとは、また違う感じで。
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5月にお会いした溝口さん。快く写ってくださいました。



 
池田町は、「木望のまちプロジェクト」に取り組んでいます。木を生かして人も地域も経済もつながっていこうという取り組み。町全体からそれが伝わってくるようでした。

2500人という人口は、今もじわじわと減り続けていることでしょう。
だから、すぐに移住対策!!となりがちですが、溝口さんは、住民は今それを本当に望んでいるのか…ということも含めて考える必要があるといいます。住民の声を聞き入れながら、町としての将来像を模索し続ける溝口さんのような公務員さんがいることも、池田町の希望ではないかなと思いました。

公務に戻られる溝口さんをお見送りして、近所のお蕎麦屋さんでお昼を食べたら、日暮れまでの帰宅をめざして奈良への帰途につきました。

都市ならばあって当たり前の全国チェーン店が並ばない町の風景が、どこまでも美しい池田町。
都市が今から真似しようと思っても不可能な風景です。
この貴重さを宝として、ネーミングで遊ぶような心意気を失わず、居心地のよさを自分たちでつくる素敵な町であり続けてほしい。
そんな池田町に、また行きたいと思います。こんどは、釣り好きの部員さんに配慮して、夏がいいかもしれません。 



奈良つながりで、溝口さん、さとびに登場してもらえないかなあ。。。。 


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編集部員が釣りバカです。
(編集部員ですが編集はしていません ^^:)

少し度が過ぎないか?と思うくらい、月に何度も出かけます。
たまに、編集部の都合とマッチした場合には
わたしも同行して、現地で別行動しています。
(それぞれにやりたいことが違うので)

先日も、そんな日でした。
部員は上北山村の師匠のご加護のもと、鮎つり。
わたしは民宿でゆっくりと休む。
夜は師匠とともに、「飲みましょう企画」が実現しました。
師匠には、今後記事になる企画について
ご協力いただくことになりそうです。

そんな飲み会に民宿100年の女将である小谷雅美さんご夫妻も
お招きしして、語りあいながらひとときを過ごしました。
民宿100年さんに泊まるのは2回目。
以前はコケの楽しい話を伺いました。



夜は古民家の畳と布団に癒され、朝を迎え、
釣りバカ部員さんは前日に引き続き、すでに鮎つりに出た後のこと。
雅美さんがのぞいてくれました(ご自宅はご近所です)。

雅美さんは最近、Yahoo!ニュースにもなってしまわれた人でもあります。


その雅美さん、今FBで「古家お片づけプロジェクト」の記事を連投されています。
FBアカウントをお持ちの方は、こちらをどうぞ。記事をさかのぼると、古家の最初の状態も見えます。

民宿100年さんは、もともと民宿であったという古民家をセンスよくリフォームされています。
元の状態がわからなくなるほどリノベーションされているのではなく
あくまでも古民家そのままの柱、天井、建具を残しながら、必要なところは手が加えられ
すっきりとレイアウトされた空間です。
長く住み継がれ空き家になった建物を慈しむ気持ちが感じられるんです。

そんな方ですから、これからどんなふうに「古家お片づけプロジェクト」が進んでいくのか興味がわいています。

雅美さんは、なぜこのプロジェクトを始めたのでしょうか。

「この民宿をやって1年。4年前に地域おこし協力隊として家族で生駒から移住して、山のガイドをしてきました。それは並行して今でも続けているのですけど(上記Yahoo!ニュース参照)、縁あってすでに廃業していたこの民宿をリニューアルして民宿100年を開きました。村でただ一人の中学生が、わたしの次男。家族ごと引っ越してくることに対して、最初は驚かれたものです。本気か?って感じで。

住んでみてわかるんですけど、本当に空き家が多いんです。どうしてだと思いますか。村から人がいなくなるのは、出たくなる理由があるからなんですよね。仕事や学校や、いろいろ。。この村に人をとどまらせるだけの魅力や力がないのかもしれないです。わたしにとってはパラダイスなんですけど、村で生まれた人がそう思うとは限らない。子世代が村を出て、親世代が残り、帰省している時代がり、やがて親が旅立つと仏壇が残り、子世代は時々帰ってきて家を守る時代があり、そしてだんだんと縁が薄くなり、家が負担になっていきます。そして空き家になっていく。

でも、その家って柱や梁を見ると今ではもう手に入らないような立派なものだったりして、このまま朽ちていくのはどうしても、もったいないなあと思います。
それを空き家を扱う業者に出してしまうという方法もありますけれど、引っ越して来る人と村の人とのマッチングがうまくいくのかなと思うんです。

もしも空き家を綺麗にして、ここに興味のある人、この村が好きだと思う人に活用してもらたら、、、と思いますが、どこからも資金が出ません。だったら、自分たちで出来る範囲で、楽しみながらやりたいと思う仲間だけでやってみようと思って始めたのがこのプロジェクト。まだ最初の1軒目ですけど、村外から手伝いたいという人も現れています。

今の家は、川が近くにあってものすごくロケーションがいいんです。これはいける!と思いました。綺麗にしたからって、すぐに住み手が見つかるわけではないと思うので、最初はイベント的に使ってもらったりお試しに宿泊してもらったりして、そのうちに、「ああ、ここに住みたい」と望むような人とマッチングできたらなあと思うんですよ。今年の夏は川を眺めながらかき氷なんて食べられたら、最高だなあと思います。」



一時お話を中断して、再びもどってきた雅美さんは、プロジェクトをいっしょに取り組んでいる 「きょうこさん」を連れてきて、紹介してくれました。

きょうこさんは、さとびごころのことをご存知で、喜びました。それもそのはず、道の駅の2階にあるカフェで働いていたことがあるそうです。その頃、さとびごころは31号「ジビエと獣害」という特集で、上北山村の猟師で加工ジビエを販売している原口清隆さんを取材し(執筆は現在、コラムで読書さんぽを担当していただいている嶋田貴子さん)紹介したことがあります。

そのときの、開口一番の原口さんのお言葉を書いておきます。
「これ、500円出して買う人、いてるんですか?」さとびごころをめぐりながらズバッとおっしゃった、とあります。ありがとうございます、ほんとに。少しですが、いらっしゃるんですよ! 雅美さんもその一人です(^^)

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その原口さんの鹿肉をメニューに取り入れていたのが、道の駅2階のカフェでした。そこにきょうこさんもいらしたわけです。

すると、どうでしょう。今度は原口さんが民宿100年にやってきました。次のお客様が原口さんのお肉をご所望のため、納品に来られたのです。
ズバッとしていて朗らかなキャラ、そのままの人でした。狩猟して加工してジビエとして販売するプライドを感じる立ち話をうかがっているうちに、どうやら雅美さんは狩猟の免許もお持ちであることがわかってきました。もしや、原口さんの後継者候補ナンバーワン?
上記の記事の中には「あと10年で上北にも猟師はいなくなるかもしれない」という原口さんの言葉があります。この記事から4年たちました。今、雅美さんが現れているという時の流れの中にいることが、なんだか嬉しくなりました。

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雅美さん(奥)ときょうこさん(手前)


きょうこさんは、ゆったりとした笑顔の似合う、雅美さんの良きパートナーとお見受けしました。結婚を機に村に来られた人で、雅美さんと同じく、少し客観的に村のことを見ることができ、村の幸せを考えているお仲間です。

地域はいつもそこで暮らす人の能動的で自立した活動から活性化していくものだと思います。
雅美さんは民宿経営の傍ら、集落支援員でもあるので村内をまわって村の人たちのお話を聞くことがあります。 村の人の本当の気持ちを知る雅美さんが動かすプロジェクトは、いつか村の他の人たちにも応援されたり、村外の上北山ファンに喜ばれるものになっていってほしいですし、そうなる予感がします。

わたしたちも、次回またこの村に来ることがあったら、プロジェクト進行中の古家を見学させていただきたいと思いました。 

民宿100年
https://www.minsyuku100nen.com
https://www.facebook.com/民宿100年-105944264453293



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さとびごころをオンラインでもお求めいただけるようになりました。
こちらからどうぞ

在庫切れのバックナンバーも、PDF版(¥300)でご購入いただけます。

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オンラインショップではエルインク発行によるもの(32号〜)を
取り扱っていますが、それ以前の号については直接お問い合わせください。 

100年住み続けたい奈良のための地域づくりマガジン
さとびごころ(発行オフィスエルインク)
http://satobigokoro.org/

お問い合わせは上記HPのフォームからどうぞ。


  





  

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今日はクリスマスイブ。
というわけで、先日、別枠でご報告しますとお伝えしたクリスマスコンサートのお話です。

編集長の個人的な活動範囲のことで、さとびとは直接関係のない企画でしたが、 
上北山村という所は、またいつか必ず取り上げたい 村ですので
直接の担当ではなかったのでしたが、バックナンバーで獣害を取り上げたとき、この村を紹介したことのありますよ
広い意味ではさとびの「日頃の行い」という意識で臨みました。

上北山村をご存知 ですか。
奈良県の中では南東部、紀伊半島の中で見てみると三重県に接しています。
奈良県上北山村

紀伊半島上北山村

面積は広く(奈良県で2番目)、人口は少なく(約500人)。
編集部のある奈良市からは、吉野町を超え、林業で有名な川上村を超えると上北山村です。
奈良県民といえども、何か縁がないとめったに行かない場所かもしれません。初めての人は、山また山が続く道を運転するのが大変だったと言います(笑)。

昔は林業で栄え(江戸時代は幕府に御用材を供給)ましたが、地理的に見ても想像できるとおり、木材は熊野川を通じて新宮へ運ばれましたので、これも奈良市周辺で暮らしているとなかなか知られる機会が少ないことかも。日本100名山にも選ばれている大台ケ原(標高1695.1m)があり、登山をされる方には有名です。今年は中止になりましたが、「ヒルクライム大台ケ原since2001」という、自転車レースには800名が集まるとか。でも、普段は静かな静かな山里です。

わたしたちはこの近辺を通るときは、この村にある「道の駅吉野上北山」には必ずといっていいほど休憩に立ち寄ります。最近、この村にも、さとびを定期購入してくださるようになった方があります。また、この秋にはおばあちゃんの家に里帰りしたような気持ちになれる民宿100年にもお邪魔しました(こちらも、定期購読していただきました!ありがとうございます)。そうそう、ここを見学させていただいたことも。。。→「下北山村の隣、上北山村。宿泊施設ができてます。」
しかし、まだまだ村の方との接点は少ないですので、もっと上北山にも行きたいなあと思います。。。。


この道の駅のすぐ近くに、今年新たにリニューアルオープンしたホテル フォレストかみきた があります。ヒルクライムでこの村を訪れる人を想定されてか、各部屋にマイ自転車を収納するホルダーが設置されております(実際に宿泊してみたところ、各部屋がビップルームのように広くてびっくり)。

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晩御飯は食べきれないくらいの量でした。
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ここの温泉がとても気持ちよく(おニューなので美しいのに加えてお湯の質も薬湯と呼ばれるだけあって癒されます。さらに、ゆったりと空いているのが格別の魅力!)、通りすがりのわたしたちでも入浴できるので、しばしば利用させてもらっています。村の方たちもよく利用されているようです。



このホテルで「コンサートをさせていただけないか」と企画をご提案したところ、一般社団法人ツーリズムかみきたの遠藤さんがOKしてくださり、今月13日に実現しました。コロナのご時世ですので、感染防止対策をしっかりと。何でもかんでも中止、中止ではなく、実現できたことが有り難かったです。


この村出身の、とても歌声のきれいな女性=しのちゃんのふるさとで、クリスマスコンサートを。という趣旨でした。いっしょに出演するバンドメンバーも、ライブできる機会を得られて喜んでくれました。

さてしかし、村の人は聞きに来てくださるのだろうか、、、と思っていましたが、
意外にも(笑)満席御礼。90歳の男性は、「しのちゃんが小学生だったときの学校の先生だったんだよ」という方。80歳代の女性は、「この部屋(コンサートが行われた地下1階の部屋)は、昔カラオケができたんよ。ここに来て、みんなで集まるのが本当に楽しかった」と懐かしんでくださいました。
ホテルのスタッフの方も、どうぞお聞きくださいとお招きしましたので、いっしょに聞いてくださったようです。

「しのちゃんの歌がききたい」とお思いの方が、村の人口から考えてかなり高い比率でいらっしゃったのですね。村には、当然ながらライブハウスはありません。地元出身の歌姫の声をライブでご提供できたことが、ささやかな貢献になったとしたら嬉しいことです。 お礼に、地元の柿の葉寿司メーカー「いざさ」の柿の葉寿司を差し入れてくださった方も。。。美味しくいただきました。ありがとうございました。


 

コンサート企画を通じて、村と少しだけ接点をいただけたことが嬉しい1日となりました。
しのちゃんは、「村の人は恥ずかしがり。目立つことを好まない」と言います。そんな、恥ずかしがりの村の人たちと、もしも心の通じ合うようなご縁が生まれたら。今は、そんなことを夢みています。

いつか上北山村の記事がさとびに載る日をイメージしつつ。


最後に当日の思い出フォトから。
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お世話になりました。ありがとうございました。(中央は遠藤さん)
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