さとびこ編集室日記|100年住みたいのは自然にも人にもやさしい地域

自然と人のつながりを地域に根ざして考える奈良発ローカルマガジン「さとびごころ」を編集する「さとびこ編集室」より、日々の活動のことやお知らせ、雑談を綴ります。 雑誌づくりを通して、自然にも人にもやさしいあり方をみなさんとともに考えます。

2022年03月

3月後半、もうとっくに仕上げにかかっていなければならない時期に
撮影をしていたのは、春号の紙面が冬枯れた印象にならないように
少しでも緑が萌え始めたタイミングを選んだためです。
なぜ、冬に取材する春号で、畑活特集をしたかったのかと言えば、
畑活デビューをするには、初夏が一番おすすめの季節だから。
種撒きに間に合う野菜の種類も多く
ホームセンターや種苗店には苗がたくさん並び
植えた野菜がすくすくと育ちやすい。
多くの人が好きなナス、トマト、きゅうりなどにも
チャレンジしやすい。

春号で紹介すれば、読んですぐに取り掛かりやすいと考えたからです。
 

でも、誰もが畑を借りているわけではないことでしょう。そこで、プランターを使って玄関先やベランダでも畑活デビューできるようにしたかった。
それなら、眺めてよし、食べてよしのハーブがおすすめ。
ハーブときたら、クレメンツさんです。

 プランターでハーブガーデン

エルインンク発行になる以前から、度々取材させていただき
連載もしていただいたことがあり、もうすっかり旧知の仲となりました。
自然と調和したい気持ち、ライフスタイルの実践、植物愛、豊富な経験と知識。
多くの面で、 さとびこ編集室にとって頼もしい人です。最近では、vol.46 特集薬食同源でも監修をしていただきました。

(申し訳ありません、vol.44は完売になっています。デジタルバージョンをオンラインで提供しています)


vol.49では、できるだけ詳しく、初心者でも今日から始められるプランターガーデンづくりを紹介していますので、興味のある方はぜひぜひチャレンジしてみてください。

プランターは、畑と違って植物にとって「不自然」な環境です。
ですから、大地と直結した畑とは違う注意点があります。
みなさんの中には、やったことがあるけれどうまくいかなくて諦めてしまった、という方もあるのではないでしょうか。 

プランターでハーブを育てるときに、一番大切なことは何でしょう。

クレメンツさんの答えは大きく二つあります。
特集の参考になるように、少し詳しくお伝えしますね。 



1.大きめのプランターを使うこと
 
植物は、土から栄養をもらい、空から雨と太陽の光をもらって育ちます。土だけは人間が与えてあげる植物の食べ物です。「何を食べたかが大事」なのです。初心者に多いのは、園芸店によるあるサイズの深さ。だいたい15㎝から20㎝くらいが多いのではないでしょうか。化成肥料を使って花苗を育てるにはこれでも大丈夫かもしれませんが、ハーブは野菜と同じように30㎝近くある深めのプランターを使うのがポイントです。

プランターが大きければ土もたくさん必要になります。初心者であれば、ハーブ用の土を購入する場合がほとんどだと思いますし、ハーブ用は野菜の土よりも少しだけ高いものです。でも、ハーブが好むPHに調節してあるので、失敗が少ないですから、惜しまずに土を使ってのびのび育てましょう。

PH=酸性からアルカリ性を示す目安。日本では通常なら酸性に傾きやすいことを覚えておきましょう。そしてハーブや野菜は、中性に近いPHを好みます。(ですから、苦土石灰をまぜたりするんですね。自然栽培では、牡蠣殻由来のものを使いますが)

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取材では、30ℓ程度のサイズのプランターを使い、底に軽石や赤玉土を敷いたうえで、用土は10ℓの袋を3つ使いました。3つ目は余ります。これは保管しておいてください。というのは、プランターの土は時間とともに沈んでいきますので、あとで足してあげるため。それから、1年草が終わったら植え替えが必要ですので、その時も使います。ですから、少し余るくらいの量を用意してくださいね。
 



2.プランターをカバーすること
 
 
これは、見た目だけの話ではないのです。実は、わたしも何度も経験済みなのですが、ハーブは夏のベランダの暑さにやられてしまいます。ハーブの原産地はヨーロッパの乾燥気味の地域が多く、日本の湿度と昨今の異常なまでの暑さには弱ってしまいます。その原因は、直射日光だけでなく、ベランダからの照り返しの熱も大きな原因なのだそうです。
そのため、断熱生のある木の板などで囲ってやると「全然違うのー!」とクレメンツさん。
木枠で囲む
木枠で囲ったプランター。ここまで本格的でなくても、木の板でDIYするだけでも効果はあるそうです。

 
つまり、プラスチック製などでカバーするのはよくありませんね。木製の板を用意するのが難しければ、せめてベランタに直接置かずに隙間をつくったり、エアコンの室外機からは離すなどはぜひ、守ってください。価格は高めですがプランターをテラコッタにするのも、ベターです。



特集では、用意するもの、おすすめの苗から植え方まで、ステップバイステップでご紹介します。
楽しみにしておいてくだされば嬉しいです。

vol.49 春号は、4月10日の発行予定です。



 


  
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vol.49特集の取材で羽間農園さんを訪ねました。

その日は降水確率100%近い予報だったのに、取材の間はやんでくれました。


以下はあなんのメモです。

羽間農園にて
新入部員のケンタくんは「僕も同行したいです」と熱心です 

  




羽間ちゃんは、忙しい中、わたしたちがお願いしていた話題にそって、いつものように複数の農園を案内しながら丁寧に説明してくださった。見学希望を全て受け入れていたら仕事ができなくなるため、「申し訳ないけど、お断りすることもあるんですよー」と、聞いたことがあるので、こうして取材に応じてくださることにはいつも感謝している。



今回のテーマは、営農としての農ではなくて、暮らしに農を取り入れる「農ある暮らし」のための、それも未経験者を対象とした基本的なこと、初歩的なことが中心。ちゃんとそれにあわせて心づもりしてくれていたことが伝わってきた。


生前の福岡正信さんの農園を訪ねたことがあり、川口由一さんからも学び、農協に勤めたこともあり、自然栽培歴も14年。これからは、こんな人が新たなステージで、福岡さんや川口さんが伝えたかったことも含めて、次世代につないでいくんだろうと思う。


「ストイックになったり、難しく考えないで、タネをまいてみればいいんですよ。スーパーで買ってきた野菜だって、土に植えたら育ちますよ」

無農薬、無化学肥料栽培のプロが、畑活のハードルを下げてくれる。


用意したページだけに収めるのはもったいない取材だった。それは、同時に制作しているクレメンツさんのプランターハーブガーデンも同じ。


でも、今回は、まずはちゃんと春号を作って届けるために、泣く泣く削ぎ落としながら編集している。

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奈良市の東部、都祁にある自宅から近隣の山の中に多い羽間農園の農地は17箇所に散らばっています。その中の一部が、自給用のジャガイモや玉ねぎを作っている畑。仕事の道すがら立ち寄り、様子を見て手入れをします。原木しいたけの栽培も見せていただいたあと、自宅のすぐ近くにある葉物を中心としたゾーンや倉庫にある道具も見せていただいた。
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最後は羽間農園謹製のお茶で休憩。自家製のお米と塩(羽間家では、塩も自家製。伊勢の海から汲んできた海水を薪ストーブで煮ます)作ったおかきがお茶受け。


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貴重な時間を取材のために使っていただいたことを生かせるようにしますね。

それは、プランターでハーブガーデンづくりを教えていただいたクレメンツさんも同じ。
次の投稿では、その様子もお伝えします。 


 

3月ももうすぐおわりますねー。桜の花も咲き始めました。4月の発行の向けて詰めの作業中です。





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巻末のコラムに長らく連載していただいている「日々是好菌」。
執筆の草野みなみさん(みなみちゃんと呼んでいます)は、東京農業大学短大醸造学科出身で、もうすぐ二児の母。「菌から始まるワールドピース」をモットーに、ライフワークとして「発酵ワークショップ」を随時開催する愛菌子育てママです。

コラムでは愛菌子育てぶりと、菌の大切さをわかりやすく伝えてくれています。
前回は、石鹸なし生活を勧めてくれていました。

石鹸や、ましてボディーシャンプー、ヘアシャンプー、消毒用アルコール、、、。常在菌までを洗い流してしまう、今の暮らしの不自然さに気付かされます。
さとびづくりをしてきたおかげで、いち早くみなみちゃんのメッセージに触れ(連載スタートはvol.36から)、また周囲でもシャンプーをやめて肌や体調がよくなったという話を聞くことがふえ、我が家でも洗剤や石鹸を使うことがほとんどなくなりました。全くというわけではなく、(そこはみなみちゃん、さすがです)時々使いますが、以前のように普通に使っていた頃が遠い昔のようです。

春号の今回は、自宅で作れる米みその作り方を公開してくれました。
いつもはワークショップで教わるような内容を、ほんとに?いいんでしょうか??

味噌


味噌作りは冬!というイメージがありますが、実はいつ仕込んでもOK。さすがに猛暑の頃に作るのは暑いので、避けたほうが賢明だとみなみちゃんも言いますけど、春はこれから徐々に気温が増していき、発酵するにはいい季節なのだそうです。





お味噌の原料は大豆、米麹、塩、これだけです。米麹は酒屋さんやお味噌屋さん、今やスーパーでも買えます。注意してほしいのは生と乾燥させたものがあること。今回のレシピでは生麹を使っていますので、乾燥麹を使う場合はパッケージに書いてある要領で麹を戻してから使ってくださいね。大豆は国産の新しいものが煮えやすく、塩はミネラルの多いおいしいお塩を使うとまろやかな味のお味噌に仕上がります。作り方は下記をご覧ください。お味噌は腐らないので何年寝かせても大丈夫…ね、意外と簡単でしょ?(vol.49 より)


そして、詳しく丁寧な作り方を教えてくれています。
うん、youtubeより、これじゃない???


さとび関係者さんの中には、すでに手前味噌をお作りの方もあるかもしれませんね。
(GOMIGEN最前線の北井弘さんは、たしかお作りでしたよ!)
しかし、読者さんの中で、難しいのでは?と予想しながらも、作ってみたい!と思う方の率は確実に高いはず。

ぜひvol.49を「家宝」にしていただき、手前味噌生活をお楽しみください。

なお、みなみちゃん6月に二人目をご出産予定とのこと。おめでとうございますー!
みなみちゃんが暮らす下北山村では、移住してきた方を含めておめでたが続いています。
下北山村は、人の心がなごやかで、なおかつ新しい考え方にも柔軟な村だと感じます。
そんな村だからこそ、若者も定着しやすいのではないでしょうか。  

というわけで、次号はお休みされます。
また秋号でお目にかかれますので、どうぞお楽しみに。 




 
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毎号、通称「ドタバタ」を連載していただいている谷茂則さんに、同時に連載していただいてるのが「山と今日から始まる物語」(vol.48はお休みでした)。自らも発起人となって立ち上げた大和森林管理協会の動きを伝えつつ、これからの森林、これからの地域を考えます。

今回のテーマは、vol.48特集「焚き火がうれしい」でもお世話になったKUBERUさん。
大和森林管理協会が運営しています。

KUBERUは、薪ストーブや薪ボイラーの販売を通して、地域の森林をエネルギー供給源にするためのインフラを、地域に普及するために立ち上がったプロジェクトです。


焚き火特集に登場した小島さんや川端さんの名前もちらちら出てきます。特集の意図を補完していただくような内容にもなっていますので、ぜひお読みください。

vol.48特集1

vol.48特集2


vol.48特集3

vol.48特集より


谷さんが薪ボイラーの販売事業を興こされた頃に、天川村の温泉で薪ボイラーが導入されました。そのいきさつは本誌バックナンバーでも企画記事で原稿にしていただきました。薪という燃料が果たして事業として成り立つほどに、奈良で育っていくのか確信があったのかどうかはわかりません。しかし、「アクションを起こしていかなくてはならない」という意思を明確に感じたものです。
あれから数年たち、今はKUBERUというプロジェクトが生まれ、薪ストーブだけでなく焚き火台販売やイベント活動を含む薪にまつわる様々な取り組みが始まっています。

小島さんは、「なんで僕たちは薪を売っているのか」ということを折に触れて、話されます。
経済活動は、収益だけを目的とするより、自然や社会(人)にとって益となることが継続していくための仕組み(そこに収益も含まれる)づくり。それがまっとうだと思います。



余談ですが、特集以来、あちこちで「焚き火」が目についてしかたありません。
編集部も、農家のこせがれさんが始めた焚き火会に参加し、随時集まるようになりました。
新宮へ行った部員Mさんは、彼の地で焚きつけ用の木片を販売し始めています。

焚き火や薪が、いい意味で見直されるといいですね。




PS 
vol.48 は、まだまだありますので、どしどしお申し込みください(^^)
オンラインでもお求めいただけるようになりました。
こちらからどうぞ


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「やるべきこと」

結局、指を咥えて待っているしかないように思うかもしれない。

戦争は資産家と政治家が始め、コントロールも彼らが行う。国民は陰で"やいのやいの"言うぐらいしかできない。

しかし、出来ることはある。

寄付や応援メッセージだけではなく、戦争を終わらせる抗議活動だけでもなく、自らを守る活動。

Twitterに書いたのだけど、日本の食料自給率を40%弱と言う人がいるが、残念だが現実には限りなく0%

輸入天然ガスの高騰で窒素肥料が作れず、リン鉱石もカリ鉱石も輸入。有機肥料の元の配合飼料も輸入。農薬の原体や、種までも輸入。

今の世界状況で輸入が困難もしくは高騰すれば、日本は食料は自給できない。

ロシアへの経済制裁とか威勢のいいことを言うが、自給率の高いロシアに経済制裁などすると、多分こちらが潰される。

農林水産省は当てにならない。彼らは肥料や農薬や穀物を輸入することにしか関心がなく、無肥料無農薬の栽培法など見向きもしない。

かつてヴァンダナ・シヴァ氏は、肥料や農薬の導入を、"緑の革命"という名の植民地化だと言っていた。

その通りである。肥料や農薬がなければ食料が作れない構造を、見事に受け入れさせてしまっているのである。

これは資源の豊富な大国の力を強めるだけの愚策であった。しかし、日本は大して必要のない科学技術産業に力を注いでしまったのである。

生きていくだけのためにはさして必要のない

もし、資源の乏しいこの国でも食料を自給出来る栽培方法の技術革新や保存、継承に力を入れていれば、日本の国力はもっと高かったであろう。

しかし、もう期待はできない。

だからこそ、今、個人レベルで無肥料無農薬栽培の農へシフトしてはどうかと思う。

個人レベルで栽培方法の技術革新や保存、継承に力を入れるわけである。公的に進まないなら民の力で実行する。

僕がそう思って動き出したのは8年前。今頃になって、やっとその意義を見つけ出すことできるようになった。

無肥料無農薬栽培は、誰にでも出来る農法である。なぜなら自然界が数億年という歴史で続けていることだからだ。

別に僕のところに学びに来いという意味ではない。ステマではない。僕にも限界はある。

大切なのは、ポリシーを決め、ひたすら自分で実行してみることだ。

プロの農家ではないのだから、病気もなく虫食いもないものをたくさん作る必要もない。成功ラインをグッと落とせばいい。

トマト一個できればそれでいいではないか。いや、二個作って一つは種にすればいい。それで充分である。

どう考えても国は国民の暮らしを守ってはくれない。パフォーマンスだけの政治家に何を期待しているのか。国会での質問と回答、Twitterでの言い争い。そんなのばかりだ。

やるべきこと。これもTweetした内容である。是非心に刻んで欲しい。

これからの食料高騰に備えて

①米農家と強く繋がること

②野菜、麦、大豆、菜種が作れる空き地を見つけること

③無肥料無農薬で作物を作る知識をつけておくこと

④種を採り方を学ぶこと

⑤調味料の作り方を学ぶこと

⑥同じ行動を起こす人と繋がること

憂うことなきこの先の人生のために。

ブラウンズフィールドの農的暮らし体験連続セミナーにて。




投稿主の岡本よりたかさんは、元テレビのディレクターやITエンジニアも経験されており、マスコミやITの世界も、自然栽培の世界も両方を見てこられた方のようです。直接の知り合いではありませんが、よく読ませていただいています。さとび読者のみなさんの中にもご存知の方があるかもしれません(知り合いの方もあるはずですね)。


編集部も、不器用ながらも考えつづけてきたことと重なるところが多く、もしまだご存知でない方がいらっしゃればと思いまして、シェアしています。(ちなみにあなんは調味料は作っていませんが、塩の自給から画策中です)


ご自身の自己紹介は こちら

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