さとびこ編集室日記|100年住みたいのは自然にも人にもやさしい地域

自然と人のつながりを地域に根ざして考える奈良発ローカルマガジン「さとびごころ」を編集する「さとびこ編集室」より、日々の活動のことやお知らせ、雑談を綴ります。 雑誌づくりを通して、自然にも人にもやさしいあり方をみなさんとともに考えます。

2021年12月

皆様は今、お正月の準備も終えられた頃でしょうか。
今年もさとびごころを可愛がっていただいた皆様、お付き合いくださった皆様、本当にありがとうございました。

今年1年間のさとびごころを振り返ります。さとびの1年は冬号から始まります。

1月は、地酒特集の第2弾をやりました。vol.44 (2021.winter)
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ならの地酒ブームの仕掛け人とも言える登酒店の物語や、継承される酒蔵の若き担い手にフォーカスし、吉野の美吉野醸造さん、奈良市拓殖の倉本酒造さん、お隣三重県名張市の福持酒造場さんを訪ねました。
発行後まもなく完売し、地酒の人気ぶりを実感。今年は、完売する号が増えるようになりました。



4月の特集は、「地球の歴史と奈良の地質」vol.45(2021.spring)。
さとびごころのある部屋
いつもは「身の丈しごと研究室」でコラムを連載していただいている戸上昭司さんにご協力いただきました。なぜローカルマガジンが地球の歴史なの?と思われるかもしれませんが、今立っている場所の「そもそも」を知ると、山林、農地、市街地となった現在の奈良を本質的に感じることができると考えました。気が遠くなるほどの時間の積み重ねの上に、わたしたちは立っているんですよね、今日も。その先の未来を考えるために知っておきたい物語でした。




7月は、コロナ禍の中でお伝えしたかったことをテーマに、食べものこそが薬なのだという意味で「薬食同源奈良」を特集しました。
さとび46
病気を治すのは本当は自分自身の体です。免疫力、自然治癒力を高める食べ方、暮らし方がもっともっと大切にされてほしいという願いを込めました。自然療法の普及に取り組まれているクレメンツかおりさんに協力・監修していただきました。
新連載として、帝塚山大学の河口充勇教授による「奈良の地酒と小さな酒屋の物語」が始まりました。



そして、秋にはさとびではおなじみの佐藤浩行さんや久住一友さんに執筆いただき、「いつまでも豊かな森」を特集しました。vol.47( 2021.autumn)
vol.47

持続可能という言葉がいろんな場面で聞かれるようになってきましたが、何かひとつのことをしたからといってたちまち持続可能になることはありえません。根本となる思想を持って、何十年もかけて文化をシフトさせていくことだと編集部は考えます。豊かな森をつくる発想から、地域や暮らしを振り返ってみると方向性を感じていただければと企画しました。
今年開校した奈良県フォレスターアカデミーの藤平拓志さんの、あたらしい森づくりの担い手育成にかける思いもお届けしています。
佐藤さんの本をご紹介したところ、反響もいただきました。
近自然の森と奈良
 

雑誌の発行のほかに、編集部の活動もいろいろやりました。

昨年の特集「自然の色、手作りの服」に連動したイベントも企画。 シガセイサクショ さんの展示会を奈良市のアンジュールさん(さとびごころお取り扱いスポット)で開催しました。
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4月下旬には初めてアースデイに参加しました。たくさんの人が立ち読みしてくださり、嬉しかった。
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畑活が2年目に入り、自然に近い栽培にチャレンジし始めました。こちらは来年の特集のための研究活動を兼ねています。
じゃがいも
雑草を生かした畑づくりの現場を見たくて、長崎県の菌ちゃんファームへも行きました。菌ちゃん先生と


さとびこオンラインショップも開設。オリジナルグッズもぼちぼち充実させていきたいです。
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9月には、編集長が「トークしろ」と引っ張り出される機会もありました。公益財団法人日本青年会議所近畿地区奈良ブロック協議会様主催の(舌をかみそうです)、第49回奈良ブロック大会奈良大会(会場=奈良100年会館)の、まほろばトークというコーナーに混ぜていただきました。
49回奈良ブロック大会1
48回ならブロック大会2

そうそうたるゲストのみなさんの中で、自分ひとり場違いでは??とおののきながら、なんとか乗り切りました。(これがきっかけとなり、来年も別の団体様からトークしろと仰せつかっておりますので、頑張ります)



10月には、昨年に続き、シガセイサクショ さんさんのお山で草木染めワークショップ。なんだか恒例行事になりそうな予感がします。1017おやまWP-3
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身の丈しごとを考える研究会活動も有志で始めました。これらが結実して(?)、nomichiさんの貼り箱づくりや、アンジュールさんのマルシェ開催活動が生まれています。

編集部がご縁をおつなぎして、こんなことも実現しました。
さとびのサポーターでもある公益財団法人農業振興会館様の主催によるセミナーで、vol.46特集に登場いただいたクレメンツかおりさんの講演会(会場=奈良ホテル)。さとびマインドな人たちの思いや取り組みが広がることは編集部の喜びです。
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 今年からあらたにお取り扱いスポットになってくださったのは、たつみ書店さん、ホテル尾花さん、クラフトワークさん。
定期購読したりサポートしてくださる方は、増えたり減ったりしながらアベレージで100名を超えるようになり、お取り扱い書店で完売する号が出たりしました。時々、ご購読のお申し込みメールが届くたびに、この小さなマガジンを見つけてくださり、わざわざご購入くださる方があることに大変励まされています。
来年も、どうぞ宜しくお願いします。皆さまに精神的にも支えていただきながら、編集部は存在することができているのです。心から感謝申しあげます。
社会課題の多くが、人や社会のあり方が自然に近づくことで軽減されます。
お金のあるなしに関わらず、自然に近づくことでいつでも嬉しさと楽しさがあります。
人にも自然にもやさしい地域づくりに貢献できるよう、そして編集部自らもそれを楽しみながら、活動してまいります。 




年があけますと、冬号が出来上がってきます。
5年目となるさとびの一年が始まります。
引き続き、みなさまのお力をいただけますよう、お願い申し上げます。



それでは、みなさま、どうぞよいお年をお迎えくださいね。
次は、新年のごあいさつでお会いしましょう。
 















 
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今年もあと残すところわずか。多くの方が仕事納めされて、心に区切りがつく時ですねえ。
編集部は、毎年この時期は発行直前で落ち着かない時を過ごします。

しばらく更新がとだえましたが、余裕のなさが表れていますね。
(とはいえ、晩御飯はちゃんと毎日家で食べてしっかり寝ていますけど)

寒さがこたえるこの季節に暖かさをお届けする、次号の特集は「焚き火がうれしい」です。
この企画を考えた当初(2年くらい前)は、冬キャンプをテーマにしようかと思っていました。
でもよく考えてみると、キャンプそのもの以上に、焚き火にフォーカスしたいと思うようになりました。

さとびで連載していただいている大和森林管理協会のご理解のもと、同協会が運営されているKUBERUという薪ストーブ販売店に全面的にご協力いただき、紙面で焚き火会をするようなコンテンツになっています。

焚き火の心得や注意点、初心者がつまづきやすいところをおさえた焚き火の手順とコツ、そして焚き火にまつわるコラム等で構成しています。(コラムでは、わたくしも書きました。ちょっと真面目に書いています。はずかしい)

取材では、わたくし初体験となるヴィーガンハンバーガーや焚き火焙煎コーヒーもいただき、
取材とは思えない楽しい時間を過ごすことができました。
(まとめるのは大変なんですけど、取材はいつも本当に楽しいです)
ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。

焚き火取材1

焚き火取材2

焚き火の魅力と、火のある暮らしの豊かさを考える記事を作りながら、
火を見ているとなぜか幸せな気持ちになってしまうなあ…と改めて感じました。

(そのせいか、みつろうのキャンドルを買ってみたりして。キャンドルライト、久しぶりだなあ) 

楽しくて、読み応えもある内容となっていますので
ぜひお楽しみに。

年があけましたら、vol.48のご紹介を始めます。
今回の連載やコラムも、どれもみんな超おすすめですよ。

さとびごころvol.48 2022.winter  どうぞ宜しくお願いします。
そして、皆様、どうぞ良いお年を。
  



 


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こんにちは。さとびごころ編集長あなんです。
今日は雑談記事といいますか、妄想です。すみません。
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畑から連れて帰ってきたパセリ。買えば割高で使い切れませんが、畑で自給しています。

その前に。。。農地のお話。 

先日、日本の農地がまた減ったという新聞記事を見かけました。

新聞記事ですので、そのまま画像で転載することができませんが、農水省の調査によると、
2012年では405万8400ヘクタールだった優良農地とされる面積が、2020年で399万6300ヘクタールと、初めて400万ヘクタールを下回ったそうです。

原因は担い手不足による荒廃だけでなく、住宅、農業施設、太陽光発電パネルへの転用があります。
農水省は農地の減少をくいとめるために、



農地や農道の保全活動を支える多面的機能支払制度や
条件不利地の営農を支える中山間地域等直接支払い制度

 

といった制度の活用を呼びかけていくそうです。うまく活用されるといいですね。

こうした制度も大切ですけど、こちらは農家の方たちが対象です。

編集部も含めて農家ではありませんが、農地の減少というニュースを残念(心配)に感じる人もいると思います。
そんな中、大きく見ると農業は衰退しているはずなのですが、コロナ禍を通して多くの人が「食と農」について向き合う時間を持ったことを肌で感じました。



 what you eat is what you are

 

 
です。これからは、国際的・外交的な事情が毎日の生活に直接響いてくることが増えるかもしれません。
なにはともあれ、自分たちの食べものを少しでも自給できるスキルを身につけておくことが大切だと思えてなりません。自給できなくても、できるスキルがあるとないでは違います。

その事始めとして畑活です。意識の高い人たちだけではなく、編集部のような普通の人でも畑活はできるということはこの1年間で経験しました。
 


買い物に行くように、畑に行く。
冷蔵庫を開けるように、畑に行く。 そこはパラダイスです。

 

とれたての野菜をその日に食べる。無農薬、無化学肥料。虫がかじっていても、形が崩れても、売り物ではないから関係ありません。美味しければいい。そして、美味しい。
自宅で作れば、本物の調味料を使って薬食メニューを食べられます。
(このブログをよくお読みになる方は、繰り返しになってしまってすみません!)

畑活したい人と、耕作放棄地のコーディネートがもっともっと進んだら?
わたくしは、いつもそんな妄想にかられています。
 
そこには、安心安全な食べものや、薬草になる雑草や、楽しみとして育てる花や、美しい景観や、遊びにきてくれた子どもたちや友人と過ごす時間や、お弁当やアウトドアクッキングのシーンや、運動不足解消のストレッチのチャンス、日光浴、いろんなものがあります。ありえます。

自分たちがやってみて決して難しくないことがわかったので、他のみなさんにも畑活ライフを絶賛おすすめしたくなっております。

農地の減少…。農家の方だけで、なんとかなるものでしょうか。農家の方は兼業農家さんがほとんどで、ご多忙です。退職した年代の方が継承されるとは限りません。

ですから、関心のある方みんなで農地を守りませんか。
就農とはまた別の、暮らしと農地との距離を近づける行動。 
それも、楽しくて、健康によくて、景観にもいい。
このごろ、耕作放棄地を見かけると、草刈りしてあげたいなあ、、、と思うようになりました。
「わたしでよかったら、しましょうか?」と、独り言。
もちろん他所様の農地を勝手に草刈りはできませんから、そのまま通過してしまうのですが。。。

 

農家の方は、身近なところから「休日に手伝ってくれない?」とか、「農の体験してみたい人いないかな?」とか、お声かけされてみてはいかがでしょうか。そこから、何かの縁が始まっていくかもしれません。
市民農園や、ビジネスとしての貸し農園もありますが、もっとフランクな、日々の人間関係の延長線上にも、放棄地と家庭菜園の出会いは隠れているのではないでしょうか。




 


 



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身の丈しごとって?


「精神的、技量的、器量的な丈も含めた「身の丈」を精一杯に使い、
「仕事」の囚われから脱却し、
自由に自分の「しごと=すること」を考えてほしい」

 
という願いから、戸上昭二さんが提唱する言葉です。

さとびvol.40(2020.winter)から同じタイトルでコラム連載が始まりました。
これをきっかけに、
さとびづくりを通じて出会った仲間と
身の丈しごと研究会をリアルにたちあげ、定期的に集っています。
 
人は、自分でないものになろうとするときに疲れるのだと言います。
自分の身の丈は、低くしてみたり、高くしてみたり、
案外つかめていないもの。

戸上さんのワークショップを受けてから
身の丈しごとを見つめ直し
それぞれが歩んだ1年間のエピソードを持ち寄った
同窓会。

ワークショップでイメージしたことに
こだわってはいなかったはずなのに
不思議に、ほとんどのことが実現していました。
これには、みんなで驚き、喜びあいました。

本来の自分を100%生きることが、実は成長なのかもしれません。

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最後に持ち寄りで食事をともにしました。

今日のメニュー
 
タイのカルパッチョ
ビーフシチュー
手作りパン
手作りスイーツ
コーヒー
(部員さんの手作り振る舞い料理、阿南家食堂も出前 笑)
やっぱり、最後はおいしく終わらないと!



こうして実践を重ねていきながら
これからの人のために
いずれは、小さなスクールに育っていくと面白いねと話し合いました。
さとびのコラム連載は今も継続中ですので、
チェックしてみてくださいね。


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こんにちは。今週は、少し暖かいようですね。
朝晩が寒くても、昼間ぽかぽかしている日は、安らぎますね。

11月5日土曜日、子どもおんまつりがならまちセンターで開かれました。
世界に誇る奈良の伝統行事である「春日若宮おん祭」のことを、こどもたちにわかりやすく親しみやすく感じてもらい、伝統あるお祭を後世に残すことを目的とした市民のおまつり。
コロナ禍の影響を受けながらも、今年も無事開催されました。
新聞でも紹介されていましたし、ご存知の方もあろうかと思います。
編集部も朝から会場設営のお手伝いに行ってきました。

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写真はNPO法人宙塾様より

今日は、編集部とこのまつりの実行委員会の委員長である黒飛さんのつながりを振り返ります。
読んでもらえたら嬉しい。


実質的に段取りをされている黒飛啓志さん。奈良市で「宙(おおそら)塾」という補習塾をされています。
さとびの定期購読者でもあるだけでなく、編集部の阿南家とはいろいろとご縁のある方。

まず、奥様とは「ママ友」でありました。今も友だちです。
つまり、黒飛さんちの黒飛くんとうちの子が小学校以来の友だちで、中学時代には共に吹奏楽部(このつながりで、子どもおんまつりに吹奏楽の演奏があると引っ張り出されていました)。
 
次に、2011年に「俚志」(現在のさとびは2018年からのリスタート版です。創刊は「俚志」として2010年)誌上で、宙塾が取り組まれている「菜の花プロジェクト」が紹介され、編集委員の一人として記事作りに携わっていました。

そして、今、編集部が活動している畑は、黒飛さんのご縁で使わせていただいております。
つまり、この畑は、菜の花プロジェクトの現場の隣接農地、ということになります。

ついでに申しますと、部員さんは、黒飛さんが理事長をされているNPO法人宙塾の理事でもあります。




割り込み余談です。
昔、あかい奈良という雑誌でライターをしていたとき、南都楽所(なんとがくそ)の紹介を担当し、公益社団法人「南都楽所」名誉楽頭で、奈良大名誉教授であられた故笠置侃一(かさぎ・かんいち)先生の熱い御心に触れながら取材したことを懐かしく思い出しました。けれど、案外たくさん忘れていることがあるのを、この会場の展示で思い出させていただきました。

 

子どもおんまつりは、NPO法人宙塾の始まりとともに始まった取り組みだそうです。最初はもっと小規模で、20人か30人くらいのイベントでした。それが今では400人。長く続けられたことの重みを感じます。
スタッフの中心となられている方は、塾生であり現在学校の先生になっておられる素敵な青年でした。学生時代には同塾の講師もされていたそうです。かつての塾生がこうして今も、塾頭のお手伝いをされていることを知って、わたくし、感動しました。

黒飛さん、きっとお喜びでしょう。

もうひとつの、菜の花プロジェクト。奈良ではこのほかにもプロジェクトがあるようですが、黒飛さんもそのひとつとして、2000年からずっと毎年続けていらっしゃいます。

菜の花プロジェクトとは、農の再生や地域エネルギーの自立などをめざして、菜の花の栽培、搾油、廃油回収、燃料化などの資源循環型サイクルを作るプロジェクト。現実のところ、燃料化まではなかなかいかないようですし、収穫の量も年によってばらつきがありますし、いっしょに活動してくださる方も出入りがありますが、それでやめてしまうのではなく、搾油してなたね油として販売し、環境教育として活動をずっと継続してこられたことに、敬意を評したいと思います。

正直、もうしんどいな。と、思われた瞬間も、きっとあったのではないかと想像するんですよね。
わたしも、さとびの創刊も含めて数えると12年になりますが、続けたことのある人には共感していただけるのでは???(いっしょにしたら、あかんか)

菜の花は、日々の管理も必要ですので、そこの部分は、編集部も畑活動ともども、これからも協力していこうと思っています。編集部として葉の花づくりにかかわるのは2年目となりました。

さとびつながりとして、これからもこのご縁を楽しみ、継続したいなと思います。

あ、来年、菜の花が咲いたら、菜の花まつりがありますので、お近くの方はどうぞ。

NPO法人宙塾



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