さとびこ編集室日記|100年住みたいのは自然にも人にもやさしい地域

自然と人のつながりを地域に根ざして考える奈良発ローカルマガジン「さとびごころ」を編集する「さとびこ編集室」より、日々の活動のことやお知らせ、雑談を綴ります。 雑誌づくりを通して、自然にも人にもやさしいあり方をみなさんとともに考えます。

2021年08月

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『わがや電力』がわが家に

先日の記事でご紹介したテンダーさんの著書『わがや電力 12歳からとりかかる太陽光発電の入門書(やわらかめ)』を取り寄せました。ヨホホ研究所さんからに直接購入を申し込むようになっています。そこだけはさとびに似ていますが、発行部数がとんでもなくて12000部とのことで、すさまじい収入になっているみたいです(あ、話がそれてしまう)。電力の自給に興味のある方には、ぜひともおすすめしたい一冊です。

電力の自給については、311ショックを機に激しく興味を持ちました(メガソーラーは本末転倒だと考えております)。いつかは実現したいと妄想しながら、自宅マンションの規定で「ベランダにソーラーパネルの設置が禁止」されているため、「そのうちそのうち…」と後手後手になっていたところ、「12歳からとりかかる」ですとか(やわらかめ)というタイトルに導かれ、理科が不得意であったわたしにも読めるかもしれない…と思い、「まずは基礎知識だけでも得ておこう」と購入。やはり、こんなご縁ができたということは、そうしなさいというメッセージであると受け止めました。

さて、ページを開くと…。ソーラーパネル、バッテリーなどの言葉はさすがに理解していますが、「チャージコントローラー」や「シガーソケット」、「インバーター」などの意味、そしてあらためて「ボルト(電圧)」、「アンペア(電流)」、「ワット(電力)」、「直流」、「交流」という日常用語でありながら、実はすぐに???(わたしだけだと思います。みなさんは大丈夫だと思います)となってしまう数字の関係、いよいよ実装!という手順、どれもひとつずつ、12歳の読者の立場にたってわかりやすく、順を追って説明してありました。

わがや電力づくりなら、免許が不要であることも初めて知り、電力のことは専門の技師さんでなければダメ!という先入観から解放されました。

テンダーさんとは、どんな人?低支出、低収入、低負荷で暮らす人

この本を方ぼくは…と、著者自身による紹介によりますと(本の初版は2015年)、

鹿児島県の山奥で、電気・水道・ガスを契約せずに、年間の家賃は1万円の「てー庵」という家に住んでいる。低支出、低収入、低負荷の家、という意味だ。てー庵では、調理も暖房も薪から、風呂のお湯は太陽熱、水は山水を引いて使っている。
パソコンを使い、ウェブや執筆、デザインの仕事をしたり、無人島でキャンプをして、サバイバル技術や先住民技術を教えている。
と、あります。今となっては、「低収入」かどうかは謎ですが、低負荷の暮らしをされていることはまちがいないと思います。そして、ダイナミックラボを運営することで、そんなあり方を広めようとしておられるのですね。

都市や町で暮らしていても低負荷にできる

山奥で山水を引いて(かつてテレビの密着ルポで見たのですが、たしかに自分で引いておられました)というところが、たまらなくうらやましいですが、これは都市や町ではできることではありません。けれども、低負荷のアイデアはいくらでも見つかりそうです。

テンダーさんは、熱利用ならまずは電気よりガスのほうがロスが少ないことを指摘しています(ご自身は薪)。とてもわかりやすいので、転載させてください。

元々の燃料が持っているエネルギーを、火力発電所は35%から45%、原子力発電所は33%しか電気に変換できない。半分以上のエネルギーは捨ててしまう上に、できた電気をもう一度熱に変えるとき、さらにロスが出る。かたやガスは、元々のガスの持っているエネルギーの80%以上を熱に変えることができる。

それなのに、電気ストーブ?ホットカーペット?電気ポット?どうしても電気でなくても生活できそうなものにまで電気を使っていないでしょうか。

できることは何でしょう。今すでに与えられた条件の中で、もっとよくする余地というのはいつでも、あるんだと思うんですよ。電気そのものを、節電したり。

山水を引くことはできなくても、毎日使う水を節水したり。


方向性として「低負荷」であるなら、人それぞれ立ち位置が違っていても、現在の位置で可能なことをとにかくやっちゃえば、全体として必ずシフトするはずです。
 

テンダーさんのマインドに触発されてみる、という意味でも、さしせまって電力自給したい人に限らず、一家に一冊、あったらいい本ですよ。わが家でも、音響マンでもある部員さんに(音響の結線ができるならわがや電力もつなげるんじゃないかと)わがや電力を作ってほしいなあ(手伝うから)。


いつか鹿児島のデンターさんに会いに行こうと思います。もしかしたら、奈良に来ていただけるチャンスがないとも限りません。そのときは、ぜひ、ぜひ、さとびマインドな方々にご参加いただけたらと願っています。



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そばチャレンジ

vol.46で最終回となったコラムを連載していただき、「道が開けてきた」との手応えをつかんで里山を守る活動が進行中の杉浦さん。
初夏から夏にかけての田植え&草引き活動(こちらにも多くの方がボランティアに)が終わったら、そばチャレンジの始まりです。休耕地でそばを育てて出荷するプロジェクトが21(土)、22(日)の二日に渡って開催され、22日のほうへ部員ともども参加してきました。

そばチャレンジでは、秋津穂の里プロジェクトでもおなじみになった方との再会があります。

この中には、先日取材した あべたや の村井さんもいらっしゃいましたし、
スタッフとなって積極的に動いていらっしゃったあの方も
サポーター様です。 前日の21日には、サポーターになってくださっている方の顔ぶれもありました。
ただただ、ありがとうございます!

杉浦さんのところでは、さとび的な出会いが多くて嬉しいです。 

若者がたくさんいますが、滞在しながら農的なボランティアを行なっているグループ。
その日が最後の日程とのことでした。

実は、杉浦農園にはもうひとつ、ワインプロジェクトがあります。若者たちのおかげで整地(もともとは笹や雑草がいっぱいの放棄地)が終わり、すでに10本程度のぶどうの苗が育ってきています。
こちらもいつかはワインとなってお目見えする時がくると思いますので、みなさん、ぜひ飲んでみてください。

PS

速報。あべたやさんが、さとびごころをお取り扱いくださる方向で検討してくださっているそうです。奈良市以外で、さとびごころが買える場所が少なく、本当に嬉しく思います。
次の機会には「さとびごころお取り扱いスポット」 として、ご紹介できますように。


お知らせ




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ごぶさたしております。
最近また更新がにぶっていますね。申し訳ありません。


そんな中、、、。 

先日はとても嬉しいことがありました。

ツイッターで、さとびライターさん(大地の再生を連載してくださっていた西尾さん)がさとびを紹介してくださり、
そのご縁で鹿児島県でダイナミックラボを運営され、ウェブで1万部のベストセラーとなった『わがや電力〜12歳からとりかかる太陽光発電の入門書』の著者でもあるテンダーさんからお申し込みいただき、感想メールを頂きました。

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(お申し込みいただいた方には、「励みになりますのでよろしかったら感想を…」とお願いすることが多いのですが、本当に送ってくださる方は珍しいです)

ご本人の許可をいただきましたので、紹介させてください。

テンダーです。

早々に送っていただいてありがとうございました。
作業の合間にちょこちょこと3冊読み終わったところです。

(編集部によるオフレコ)

話はそれましたが、昨今の私が見た雑誌は「その情報は誰にとってどんな意味があるのか?」が検討されないまま、ただ単に読者を消費者として囲い込めればそれでいい、くらいの目的で構成されたようなものばかりで、

そういった企画を寄せ集めた結果「消去法で雑誌というジャンルに落ち着いた」体のもののように私には見えました。
(読んだ感想が「時間を無駄にした」に落ち着いてしまうという、もはや目的のわからない本…!)

ところがさとびごころは私にとって、書き手や企画のそれぞれの時間をお裾分けしてもらった読後感でした。豊かな気持ちをいただきました。ありがとうございます。

私はよく考えるのですが、時間とは命そのもので「時間を無駄にした」とは「命を無駄にした」に他なりません。
さとびごころは、書き手の経験や息吹を遠い鹿児島で受け取ることができて、ともすると「私の人生ではなし得なかった経験をお裾分けしてもらった(時間が増えた)」ような感覚です。私の命が豊かになった。


多様であることの体現が難しい時節ではありますが、さとびごころとそのお仲間さん方の一挙手一投足を、まさに必要としている人々へ届くようお祈りするとともに、微力ではありますがお手伝いできることがあれば気兼ねなくお申し出いただければ、と思っています。

(はじめは、鹿児島のダイナミックラボで買取販売すればお力になれるかな?と思ったのですが、そもそもたくさんお客さんが来るところでもないのでなかなか難しいかなぁ、とも思案しています)


長い感想となりましたが、感謝の意とともに。


テンダー



「書き手」さんの経験や息吹をお届けできたとすれば、これは書き手さんにお伝えしなくてはならないと思います。

さとびの書き手さんは、編集部的な表現を許していただけるとしたら、100年住み続けたい地域にむかっていっしょに歩ける人たちだと思っています。

そんなみなさんへのエールが届いたことを、お知らせさせていただきました。

これからも、さとびをよろしくお願いします。
秋号も、頑張ってつくります。 


テンダーさんについてはこちら





PS ツイッターを始めなくてはならないかもしれないというプレッシャーは感じています(汗)


PS この投稿は8/17のものをリライトして再投稿しています。
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先季号からの新連載「奈良の地酒と『ちいさな酒屋』の物語」の取材のため、
田原本町にあるあべたやさんへ、執筆の河口充勇先生(帝塚山大学文学部教授)と一緒に行ってきました。

酒のあべたや・村井誠さんは、以前本誌の酒特集をお買い求めいただいたことがありました。その節は、ありがとうございました!


連載全体のテーマは、奈良の地酒ブームの背景にある小さな酒屋の有機的なネットワークを紐解くことです。初回は、中心的なキーパーソンとなった天理市の登酒店にフォーカスしました。次回は、ネットワークの一員であった村井さんにお話を伺うこととなりました。
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ネタバレしても面白くないですよね、どこまで書いていいのかしら。

同店はもともと近鉄田原本駅のすぐ近くにあったもの。駅の再開発にともなって、現在の地(田原本町本町三笠43-3)に移転され、おしゃれで広くゆったりしたお店になっています。

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テーブルまわりもいい感じで。『発酵文化人類学』もありました。
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こちらは、村井さんの思いがこもっているお酒。おそらく記事にも登場するでしょう。
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さとび読者の方ならば、おなじみのお酒も並んでいました。大倉さん、倉本さーん。
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予定時間をオーバーしそうになっても、お話してくださる村井さん。
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執筆の河口先生は、感動ポイントがいくつも見つかったようで、わくわくなさっていました。

酒販店にとって大きな試練となったのは、1990年代から進んだ規制緩和です。
酒販免許は2003年には完全自由化されました。 
大型スーパー、コンビニやデイスカウントストアでの流通が広がり、地域の酒屋は競争にさらされるようになりました。
「これまでのようにはいかなくなる。売り上げが落ちるだろう。そのぶんをインターネットで補うことができたら…」という思いから、村井さんは奈良では先駆的にネット販売に取り組まれました。
また、今ではどこでもお馴染みとなっているお酒の会の活動にも早くから取り組まれ、ニュースレターで顧客とつながる努力もされてきました。村井さんのコメント力は、登さんのおすみつきです。

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平成8(1996)年のなつかしい案内状。手書きの文字も、かわいいですね。女子的。
なんと、この会はあの、フィリップ・ハーパーさんが登場されています!

年月がたち、今では「酒のあべたや」さんのメールマガジンは7000名に送られているそうです。驚愕。
息子さん、娘さんがスタッフに加わり、後継者も安心。コロナ禍の中でも売り上げは下がっていません。これも驚くべきことです。

居酒屋さんへ行けなくなった人たちは、ウチ飲みにシフトですね。取材中もマスクをしたお客さんが入れ替わるように入店されていました。

秋号は10月10日の発行となります。10月1日は日本酒の日ですので、なかなかいいタミングとなりました。酒のあべたやさんでも何冊かお取り扱いいただくことができそうですので、定期購読をされていない方も、ぜひお手にとってみてくださいね。

秋号の「奈良の地酒と『小さな酒屋』の物語」、どうぞお楽しみに。
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酒のあべたや


PS


コロナにもワクチンにも、日本酒はとてもいいそうです。
これはもっと知られていいのでは。
編集部も、毎日少しずつ日本酒を飲むことを習慣にします。(これまでも、しょっちゅう飲んでいますけど)地酒とか、お茶とか、薬草とか、奈良には特別なことをしなくてもそのままですでに病気を遠ざけるものがたくさんあります。エコロジーは地域に根ざすことから始まります。みなさん、日本酒を飲みましょう。小さな酒屋さんで、ぜひ奈良の地酒お求めください。

そして、また居酒屋で堂々と盛り上がれる日が戻ってくることを、願っています。


 


 
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京都の書店「ホホホ座」さんに伺ったときのこと。
 

『料理と利他』という本を買いました。

料理研究家の土井善晴さんと中島岳志さんとの対談本です。
この中に、台所で地球とつながるという言葉がありました。

土井さんの「一汁一菜でよいという考え」には、(料理に時間をかけたくないわたしの本音を許してくれそうで)大賛成です。

手間をかけたご馳走を毎日、毎晩、家庭で作るなんて、難しいこと。
わたしは子供の頃から家族の夕ご飯を作っていましたので、料理は慣れているのですが、毎食ごちそう、、、となると負担を感じます。それよりも、シンプルでいいから、体にいいもの、地球にいいものを食べる(その逆を避ける、減らす)ことのほうが、はるかに大切だし、しあわせだという考えです。

ハレとケというものがあります。ケがあるから、ハレが喜ばしい。
ハレは、毎日食べないものだからこそ、見た目を重視して、たとえ栄養がある部分でも捨てたりします。ハレだからいいんです。

家庭の毎日の食は「ケ」です。

働いたあとの空腹を満たし、家族との時間で心を癒す。日常の、大切にしたい時間、「食事」。
一人暮らしであっても、食の時間を大切にすると、暮らしが楽しくなりますし、インスタントものばかりを食べていると確実に体調を崩したり、変な太りかたをしますよね。

シンプルだけど体にもいいものであるためには、自然な育ちかたをした野菜、自然な加工がされた食材でなくてはなりません。逆に、そんな素材にさえ気をつけていると手間をかけなくても美味しくなります。
合理的です。 

それが自ずと「食べることは薬」… 薬食同源につながっていくんだと思います。
薬食同源の場が台所、そして台所は地球につながる。利他の「他」とは最後は世界中の人と自然=地球になるんですよね。

 
土井さんのような方が、こんなふうにメッセージしてくださることを嬉しく思いました。


そうそう、編集部のお昼ごはんは、わたしが「ジャパニーズファストフード」と呼んでいるものをしょっちゅう食べています。それは素麺!

お見せするようなものではございませんが、一応証拠写真。
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先日の昼食、素麺和風パスタ。
素麺はやっぱり三輪素麺。食べ比べると歯ごたえや風味が違います。奈良県民ですから三輪びいき。
シソは自給。畑で枝ごと収穫して、水挿ししてあるので食べ放題です。
ソースは、さとびごころを取り扱っていただいている方(橿原市のむつう整体院さま)から、おみやげにいただいた天然醸造の自家製醤油で作りました。
ツナ缶だけは、時間のないときのために常備しているもの。
かわりに梅干しとか。トマトとか。しらすも好きです。

お湯を沸かしているあいだにシソを刻み、茹で時間2分のあいだに出汁ソースの用意。
ニンニクとオリーブオイルと醤油を混ぜるだけで、
あっという間に出来上がり。なのに、美味しい。

昔のように、なんとかヌードルやなんとか弁当(非常食としては否定できませんが)を食べることはなくなりました。

台所で地球とつながるというには大げさすぎるかもしれませんが(^^:)、地域とつながっているところです。


 


 









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