さとびこ編集室日記|100年住みたいのは自然にも人にもやさしい地域

自然と人のつながりを地域に根ざして考える奈良発ローカルマガジン「さとびごころ」を編集する「さとびこ編集室」より、日々の活動のことやお知らせ、雑談を綴ります。 雑誌づくりを通して、自然にも人にもやさしいあり方をみなさんとともに考えます。

タグ:草木染め

先週の日曜日から、いっきに寒くなりましたね。
編集部に「さとび、届いたよー」のお声が届き始めました。「一気読みした〜すごくよかったー」なんて嬉しいコメントをくださった方もあり、心から嬉しく思っています。発行部数が少ないぶん、読者さん一人一人のお人柄がよくわかり、心と心の通信ができているようで、それがいつも力になります。ありがとうございます。感謝します。

さて、昨年の今ごろ発行したのがvol.43です。特集は、「自然の色 手作りの服」。ミニマムなアパレル工房、シガセイサクショさん(志賀さんご夫妻)を通して天然素材の草木染めの手作り服についてとりあげました。その後、紙面で紹介したシガさんの「お山」へ実際に行って、ワークショップを開催しました

それが非常に好評でしたので、今年も開催することに。
誰もがしっかりとワークショップの内容を体験できるよう少人数制にしていましたので口コミだけで定員になり、事前の告知はできませんでしたが、こちらで報告しますので、気持ちだけ味わってください!

(写真が多いので、長くなります!)

1017おやまWP-1

シガさんのお山(場所は非公開とさせていただきますね)には、志賀さんご夫妻の大好きなオリープ畑が広がっています。その他果樹や、草木染めに使う草木がたくさん。山というよりガーデンです。

1017おやまWP-3
シガセイサクショ の服は、ミシンは友だち、という志賀規子さんが、服のデザインと縫製を担当。ワークショップの講師です。

1017おやまWP-2
夫の功督さんは、愛するお山のメンテナンスと、規子さんが塗った服を染める担当。職人の域です。

1017おやまWP-4

最初に、みんなで自己紹介。全員がさとび読者なので初対面の人でも親近感でいっぱい。たちまちうちとけました。

1017おやまWP-5
自給する薪を焚いて、ヤマモモを煮出してくれています。わたしたちが到着する2時間も前から、じっくりとヤマモモの成分を引き出してくれていました。

1017おやまWP-6
ヤマモモは皮部分のチップを使います。お茶を濾すように、液を分け、ここに則子さんが用意してくれているトートバックやストールなど好みのアイテムを選び(または持参したものもOK)、浸けます。布に液が滲ると、コーヒー色から紅茶色に変化。すすいで絞って、次は、みょうばんと鉄の触媒を使って染めていきます。

1017おやまWP-9

1017おやまWP-8
1017おやまWP-7
みょうばんを使うと黄色に、鉄を使うとグレーがかった茶色になります。

わたしは、トートバックを両方の触媒で染めました。みんなワクワクです。
この間に部員さんがランチの用意をしてくれました。
1017おやまWP-10
 

一区切りついたら、みんなでごはん。これがまた楽しいひととき。
1017おやまWP-11
山小屋にある食器を借りました。
1017おやまWP-12
寒くなり始めたお山で暖かいリゾット。鶏肉のトマトソース煮込み、シャケとレモンのホイル焼き。

食後は、参加者のMさん提供のコーヒーや、果物も。
1017おやまWP-13

もう、ほっこりしてしまって腰が重くなりそうなところ、予定外に、特別にお山でとれたヘチマの皮むき体験もしました。熟したヘチマを茹でると、皮が簡単にむけて、ヘチマタワシが作れるんです。

1017おやまWP-14
1017おやまWP-15

完熟させると強い臭いが出てしまうヘチマですが、こうして作れば簡単だとわかりました。ヘチマ、育ててみませんか。マイクロプラスチックを減らしましょう。

触媒につけた布ものは、すすいで干します。
いつもながら、干してるところが実にいい眺め。
IMG_4972

ご参加くださったみなさん、ありがとうございました。

1017おやまWP-17


志賀さん、楽しく親切なワークショップ、ありがとうございました。
心配されていた台風もどこかへ消えていき、清々しい1日となりました。
参加された方たちからの感想も喜びいっぱいで、こちらもさらに喜びました。

「また違う季節のお山にも、どうぞ」と言っていただきましたので、興味のある方は御声掛けください。ワークショップの企画が決まったらご連絡さしあげますので、予定が合えばぜひどうぞ。


さとびこイベントや、小さなお話会の場も少しずつ増えてきました。
ズームでは味わえない、心の交流がイベントの楽しさ、豊かさだと感じます。
ぜひ、お会いしましょう。













このエントリーをはてなブックマークに追加

吉野町には、殿川というわずか14名が暮らす小さな集落があります。
かれこれ10年前地域おこし協力隊として吉野に移住してきた吉村夫妻は、任期が終わる頃には町内の集合住宅から引っ越してきて、ここに居を構えました。
IMG_4225-Edit
 
編集部(阿南セイコ)はその直前、旧「俚志」の時代に下北山村で行われた編集部主催の1泊交流会で、宿泊の部屋が奥さんの寿代さんと同じで、ベッドを並べながらゆっくりお話ししたのが出会いです。
ご主人の 耕治さんにはコラムを連載していただいたり、何度か寄稿していただいたりしていました。

その後、耕治さんは合同会社クラフトワークを起業、寿代さんは「山の果研究所」というネームで和紙の草木染めによる雑貨(ブッックカバー)を手作りされています。

IMG_4235-2
 
IMG_4231-Edit

地域おこし協力隊時代から、国栖紙の紙漉き工房とのつながりが生まれ、今こんなふうに結実しています。
寿代さんは、コウゾの栽培も、紙漉きも、デザインや型彫りも、草木染めまで一人で手がけます。
国栖の和紙といえば、文化財保存のために欠かせない伝統的な技能として「選定保存技術」に選定されているものですが、寿代さんが漉くのはその技術者から学んだオリジナルの和紙。伝統技術へのリクペクトを込めて国栖紙とは自称していないそうです。


技術は伝統的、デザインはおしゃれに、心が休まるような手触りや、丈夫さ…和紙本来の魅力が、寿代さんのセンスによってあたらしい光に照らされていると感じました。

さとびごころもそうですが、印刷物には常に洋紙が使われます。印刷という技術と相性がいいのははやり洋紙です。けれども、和紙を忘れたくない。障子からカーテンへ、筆からキーボード入力へ、時代のニーズが変わってしまっても。現代の暮らしに似合う和紙雑貨の登場を嬉しく思います。
わたしたちは古来、植物から紙を得ていたことを思い出すことができるのです。
 

殿川には、夏祭りに呼んでいただいたり、小水力発電の取り組みを見学させていただいたりしましたが、このたびさとびごころの取り扱いどころになっていただけることになりました。
コロナ禍をきっかけに起こった集落でのあたらしい動き。
水のおいしさで体質もよくなり、上水道の必要性を感じないというお話。
草木染め和紙を作るようになった経緯。
話はつきませんでした。
これから毎号、さとびをお届けするたびに「お話し会」になりそうです。



お二人の暮らしぶりも美しく、また何かインテリア系の企画でも登場していただきたいなあ。

IMG_4230

IMG_4226-2


(本当はキッチンも素敵です)



合同会社クラフトワーク
 
https://www.facebook.com/kraftwerk.yoshino
山の果研究所(クラフトワーク内)
 https://www.facebook.com/yamanokalab/


思い出
俚志19号(2014.秋)特集「地域おこし協力隊 活躍中!」より
IMG_4242

IMG_4243


***********************************************************************************
さとびごころをオンラインでもお求めいただけるようになりました。
こちらからどうぞ

在庫切れのバックナンバーも、PDF版(¥300)でご購入いただけます。

***********************************************************************************

このエントリーをはてなブックマークに追加

編集部で企画した今年最初のイベントを行いました。
IMG_2990


場所は、さとびごころのお取り扱いスポットして日頃からお世話になっているカフェ、「喫茶と雑貨アンジュール」さんにて。

混み合うこともなく、またガランとすることもなく、常に数人の来場者がゆっくりと展示やお買い物を楽しんでいたくことができました。
IMG_2972


IMG_2981

IMG_2973
さとびごころvol.43も展示いたしました。

IMG_2976
シガさんの草木染めによる手製の服は、なんといっても彩度抑えめのカラフルさが魅力的でした。
IMG_2975
展示を見た方の中から、同じデザインの色違いや、サイズ変更を希望される方があります。
それらにも細かく対応してくださること、購入した後でも、染め直しをしてくださること、
1着の服を使い捨て捨てるとなく、ずっと大事にできるのも
シガセイサクショさんが、使い手さん一人一人とのつながりを大切にされることで可能になり、ただレジを通して買うだけでない豊かさがあります。そういう場をお作りできたことが編集部としては嬉しいことでした。




展示が終わると、関係者だけでの小さなお疲れ様の会をしました。
炊き込みごはんは、山添村から購入したお米と大豆、先日うかがった竹西農園さんのほうじ茶で炊いたものです。差し入れをいただきましたN様、ありがとうございました。

IMG_2988


4月に入り、コロナのことがまた騒がしくなっていく中で、一度は開催を中止すべきか
検討したのですが、告知を控えめにして、当日は適切な配慮をすることで、準備してきてくださったシガさんにとっても、楽しみにしてくださっていた人たちにとっても、
いい1日を過ごすことができましたことを感謝しつつ、ご報告とさせていただきます。




オンラインの便利さと、オフラインならではの人間関係づくり、どちらも大切にしていきたい。
今後は、雑誌で取り上げたことをオフラインで楽しめたり、理解が進むようなことを
企画していけたらと思っています。
おそらく小規模にやりますので、そのときはこちらのブログでお知らせいたします。

 


 



 
このエントリーをはてなブックマークに追加

先日お伝えした記事の続報です。

自然に近い衣服を考える、次号の特集で、草木染めの服づくりをされているシガセイサクショさんを取材しています。

シガセイサクショさんは、葛城市に所有されている山の中で、草木染めの材料となるクリ、藍、オリーブなどを栽培されています。 
IMG_1538


人工林の多い山道の先に、別世界のようなガーデンが広がっていました。約10年前から移植してきた果樹やオリーブ、もともとあった広葉樹などが美しい景観を作っています。 
今は主にご主人が山の管理を。
そして奥様が、山で採取した植物から染めた服のデザインと縫製をご自宅でされています。

シガセイサクショ4

山の中で最も多く栽培されている樹木、オリーブ。


シガセイサクショ6

これが、あかねです。あかねは根を使って染色しますが、草はあまり知られていません。
もしそこにあっても気がつかないかもしれないほど、さりげない姿ですね。


シガセイサクショ7

畑で藍も育っています。シガさん流の藍染は、伝統的な方法とは少し異なっていて、
さわやかで明るいブルーに染まります。


こうした植物を紹介していただきながら、山を歩いてまわりました。



なぜ森を?
なぜ草木染めの服作りを?
シガさんの物語をうかがいました。
さとひごころ秋号でお伝えしますので、ぜひお読みくださいね。



取材中に、お手製のあんパンや加賀棒茶をいただいたり至福の時間を過ごしました。
 自分たちだけ、こんな思いをしてすいません!

シガセイサクショ1


実際に染色の体験もしました。栗(イガの部分の色を使います)を煮出して、トートバックを染色。

シガセイサクショ2

鉄分を含む水溶液(これが触媒)につけると、黒々とした色に変化しました。
シガセイサクショ3

左の、黒く見えているのが体験したものです(右は志賀さんの作品。同じ栗の液で染めていますが、触媒が変わると、このように全く違った色に仕上がります)。完全に乾いてからみると、いわゆるマロンブラウン色に仕上がっていました。大切にしますね。

シガセイサクショさんの山は非公開ですので、いつもの記事ように「ぜひ行ってみてください」とは言えませんが、編集部のコーディネートでワークショップをしていただけませんかと伺いましたら、笑顔でOKいただきました。興味のある方は、お声かけくださいね。











このエントリーをはてなブックマークに追加

↑このページのトップヘ