vol.43の企画記事でご紹介した、奈良県での田んぼダムの取り組み。
土木技術職の経験のある方や環境保全に興味のある方などからは、反響をいただきました。

vol.43 田んぼダム記事

(画像は記事の一部です)


治水といえば、山の谷間に流れる川ををコンクリートで固めて
堰き止めるダムを作る方法がほとんどです。
けれど、コストや環境への負荷を考えると、これからは田んぼダムのように、
自然にも人間にもメリットがある、または人間への負荷が少ない、という方法が
もっと広まってほしいと編集部は願います。


同じような取り組みが、7月の九州豪雨で反乱した球磨川の治水対策にも取り入れられるそうです。

12月30日の読売新聞オンラインで配信され、Yahoo!ニュースになったのが下記の記事。
リンク切れになる前に、転載させていただきます。


独自】熊本・球磨川治水対策、県「田んぼダム」整備方針…数百円の調整板で川の増水防ぐ
7月の九州豪雨で氾濫した熊本県・球磨川の治水対策について、熊本県は来年の梅雨時期に向け、球磨川流域で200ヘクタール規模の「田んぼダム」を整備する方針を固めた。田んぼダムは大雨時に一時的に水をためる治水対策で、実現すれば、九州では最大規模。流域全体での取り組みとするため、市町村ごとに20~30ヘクタール程度の水田で導入を目指す。


 田んぼダムは、大雨時に水田の排水口に小さな穴の開いた調整板を取り付ける。川への排水を抑制して増水を防ぐ機能がある。板の費用は数百円でも済む。新潟県で始まった治水対策で、農林水産省によると、東日本を中心に取り組みが広がっている。国土交通省が18日に公表した球磨川の流域治水案でも、田んぼダムがメニューの一つに挙げられていた。

田んぼダム読売新聞記事関連画像


 熊本県が、球磨川上中流域の10市町村に実施を打診し、おおむね了承を得たという。調整板購入や排水口整備の費用は県が補助する方針。200ヘクタールで15センチの雨水をためた場合、単純計算で30万トンの貯留効果が期待できる。また、一部の水田では、遠隔操作で一斉に排水量を調整する「スマート田んぼダム」を採用することも検討する。

 県は2年間のモデル事業として取り組み、さらに面積を広げたい考えだ。県幹部は「すぐに取り組める上、『みんなで地域を守る』という防災意識の向上にもつながる」と期待している。

 田んぼダムに詳しい新潟大農学部の吉川夏樹准教授(農業水利学)は「面積が広いほど効果が見込めるため、流域全体で取り組むことに意義がある。取り組みが持続するための仕組みづくりも重要」と話している。 
本誌で記事を執筆してくださった「農家のこせがれ」さんも、嬉しそうでした。
vol.43は、来年にはウェブにアップする予定ですので、手元に本誌をお持ちでない方は後ほど、そちらでもお読みいただけます。
(共感していただけましたらぜひ定期購読で応援してください)



農家のこせがれさんによると、田んぼダムは上記の記事にあるとおり
新潟県で始まった取り組みだそうです。

新潟県に行かれたことはありますか。奈良県民から見ると、田んぼがとにかく平べったくて広い!!
この信濃川流域は、昔から水害とともにあると言っていいほどの地域でした。
現地の人から、「昔の農家は腰まで浸かって田植えをしていた」と聞いたことがあります。
その悩みから生まれたアイデアのようです。

奈良県は新潟県のように広大な田んぼも、信濃川のような大きな川もないのですが、年々集中豪雨化していく気象変動のことを考えて、田んぼダムの取り組みが行われています。
しかし農家や都市住民の理解が必要なため、一部にとどまっているようです。

さとびごころを通して、田んぼダムへの理解が進むといいなあと編集部は思っています。