炭は大事。炭には、何かある。。。
けれども、断片的に見えているいくつかのことを、繋げることができない。
そんな状態が長らく続いていました。

焼き鳥屋さんの炭。
田んぼで野焼される(でも今は苦情になりがち)もみがらくん炭。
里山に、いくつもあった炭焼き窯(でも今はほぼ消滅)。
自宅で調湿効果のあった炭。
『発酵道-酒蔵の微生物が教えてくれた人間の生き方』という本の中で登場する埋炭。
アマゾンの先住民が作ってきたテラプレタ。
縄文人が作ってきたクロボク土が教える腐植と微粒炭(『日本の土-地質学が明かす国土と縄文文化)』。
環境再生で大地の通気穴を掘ると必ず炭を埋めたり撒いたりしていること。
土壌改良材としての炭。
デジタル時代の課題となりそうな電磁波を炭が軽減すること。 
科学的ではないとされながらも、その場の気を整える効果もあること。
逆に、「焚き火がうれしい」の特集では、炭は土に還らないから土の上で焚き火をしてはダメ!というマナーにも触れました。 

RAS効果というのでしょうか、炭に関することが目に入ってくるのです。
炭を取り上げなさいと誰かに言われているような? 

これは特集で扱いたい。。
そう思ったとき、どうしても高槻バイオチャーエネルギー研究所を訪ねなくてはと思いました。

同研究所の存在は口コミで聞いており、訪ねる機会を求めていましたら
谷茂則さんらが機会を作ってくださり、同行させていただきました。 

そこではまた、あたらしい炭の役割を知ることになりました。
それまでは、炭単体でとらえていたものが
循環の結節点として見えてきたんですよね。。
研究所代表の島田さんに特集に協力していただきたいと相談しましたら、快諾してくださり…
その1年後、今回の特集になりました。 

(1年間で島田さんは引っ張りだこ。そうなられる前夜のタイミングでよかったー)

炭はサーキュレーション扉


どんどん自然から離れていく現代文明。
意識ある人や志ある人が努力をしていても、一定の範囲に留まり広がっていかないもどかしさ。
自然が循環してごみも無駄も出さないように
人間の営みも循環させることができたらどんなにいいだろう。
炭から考えてみよう。

そう思って、vol.51の特集をしました。もちろん、伝えきれなかったことは
たくさんありますが、1回の特集で全てを伝えられなくても
こらからの企画の中で、炭はきっと登場してきますし、それらもあわせて
さとびのコンテンツらしさになっていくと思います。

炭のサーキュレーションについて、わかりやすい例が農業残渣の炭化です。

その前に、竹炭のよくある事例を考えてみましょう。
竹害という言葉があるように、荒れた里山にはどんどん竹が増えていきます。
竹はもともと、道具の素材として植えられ、筍が食料になる里山のレギュラー選手。
でも、里山が活用されなくなり荒れると、根が浅く地下茎で伸びる生命力のある竹のほうが勝ってしまう。それを整備し、増えすぎた竹を伐ると、「この竹、どうすんの?」となります。
島田さんのところにも、そんな相談がきました。それが島田さんの事業の今につながっています。
島田さんは竹炭にして、自社でも商品として販売されています。販売される炭は、竹林に戻るわけではないのですが、大きくみれば捨てられることなく活用されているという意味ではごみや無駄を出していません。(最後は土壌改良材として土に。ここで循環しますね)

これに対して、農業残渣の例では、果樹園の剪定枝の炭化があります。
島田さんの研究所にも相談があり、炭化手数料をもらって「ファーム炭」として農業事業者に返しているそうです。その炭は、果樹園の土壌改良に使われます。
なぜ炭が土壌を改良するのでしょう?これがテラプレタやクロボク土の話とつながると思うんですけど、炭はもうそれ以上分解されることなく1万年でも残るんですよね。目に見えるサイズのものばかりでなく、微粒炭というものもあります。その微細な炭に、さらに微細な穴があり、そこにもっと微細な微生物が住み着くのです。微生物マンション。この微生物こそが、土を肥沃にしてくれる原因となります。

肥沃な土とは、つまりは微生物がたっぷりの土と、言っていいと思います。
(それによって土が団粒化して、うんぬん、、、というお話はまた畑活をテーマとした記事で取り上げたいと思ってますけど)

農業残渣ー炭ー土壌改良ー農業生産ー農業残渣ー炭…とくるくるできますね。
炭の売り先をどうするか?ということは気にしなくてもいいんですよね。
このパターンが参考になると思います。

さらに、炭を土に入れることは、炭素貯留の面でも世界的に注目されています。
地球温暖化のためだけに、炭を入れる必要はないと思いますけど(笑)、土が良くなったうえに炭素を地貯留できるなら、1万年後の子孫がそれを「クロボク土だあ」って言ってくれるかな。
 

炭は、外部に発注して炭化してもらうのとは限らず、自分で作ることもできます。
農家の人であれば、農地で焚き火感覚で作れます。土壌に入れる炭は、あまり高温で処理するとかえって不向きとなり、400度くらいの低温(炭化は300度を超えたら始まります。800度以上のものが高温処理になります)で作ったもののほうが保肥力が高くてベター。燃やして燻して水をかけて消して…というシンプルな方法で炭にできます。ドラム缶などで炭化炉をDIYする人もいますし、誰でも炭焼きができる無煙炭化器(特集内でもちらっと写真に写ってます)も市販されています。
より大規模になると、島田さんが開発された製炭炉(トラックで運べる画期的な製炭炉です)の導入もありかもしれません。 さとびvol.51では、天理市の例を(企画記事の中・川波太さん寄稿)紹介していますのでご覧ください。

余談 わたくし焚き火の匂いが大好きです。植物が燃える匂い?なつかしく、癒されます。煙が出たとしても、プラごみさえ混入していなければ害はありません。衣服についたところで、シミにはなりません。それより煙を浴びるほうが気持ちいいくらいです。野焼が苦情の種になることが、残念に思います。


製炭もしない、焚き火もできない、家庭菜園もしていない、そんな人は、炭をホームセンターで購入したり製炭者から買わせてもらう(ネットの前に地域)ところから始めてみてはどうでしょうか。理屈より、実感。

わたしの個人的な体験でいいますと、まず水道水に入れてみて、嬉しくなりました。
夏の間は、ペットボトルに炭と水道水を入れて冷蔵庫へ。まろやかでおいしい水になります!
畑活のときに飲んだら、最高でした。


布の袋に竹炭をつめて、シューズボックスに入れてみると、脱臭効果を確認できました。
もともと、そんなに臭いに困っていたわけではなかったのですけども、炭を入れてみると「あ、臭っていたんだな」とわかります(笑)。全くの無臭になるというより、靴の素材の臭いは残っていましたが、いやな臭いは消えていました。


もし、「いいかも」と思ったら、プランターの土の中に炭をまぜてみませんか。飲料水やらお風呂やらと、十分に使った後の炭でOK。
玄関周辺などに土のある場所があれば(庭までいかなくても)そこにも炭を埋めてみませんか。
植物が元気になったり、化成肥料を買わずにすむようになったら嬉しいですよね。

さとびvol.51では、生活のさまざまなシーンで炭を活用する例を紹介しています。参考にしていただけたら嬉しいです。

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この特集では、島田さんのお話を伺うことによって、これまで隅に追いやられていた炭が(ダジャレになってしまった)新しいエネルギー源になっていくかもしれないという壮大な構想が見えてきました。
わたしたちは、今石油由来のものに囲まれていますよね。ちょっと前までは石炭でした。どちらも化石燃料というわけで、眠っていた二酸化炭素を目覚めさせて大気に放出しています。でも、とかく困りものとされるさまざまなものを炭にすることで、まず熱エネルギーが得られます。そのエネルギーで発電もできます。そして炭としての活用もできます。そのぶんだけ、化石燃料依存から抜けることができるはずです。これには、焚き火レベルではない、計画的な事業が必要になるでしょうし、それだけの炭化力のある装置が必要です。島田さんの事業が今引っ張りだこになっていらっしゃることに、編集部も期待したいと思います。


特集のもとになった投稿(なつかしい)
 







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